朝日日本歴史人物事典 「吉田竹子」の解説
吉田竹子
生年:明治4.6(1871)
明治大正期の筑前琵琶創始者のひとり。福岡藩士栗山幽斎のひとり娘として生まれ,孤児となってから博多の花柳界で育った。美貌と美声,三味線の手腕により人気を集めた。富豪加野(加能)熊次郎の庇護を得て明清楽や八雲琴をも修め,筑前盲僧琵琶もこなした。明治26(1893)年,文士今村外園の作詞になる「谷村計介」に曲をつけ演奏したのが,近代琵琶楽のひとつとしての筑前琵琶(当時は筑紫琵琶)の始まりといわれる。そこには橘智定(初代旭翁)や鶴崎賢定の影響もあった。伊藤博文,金子堅太郎の庇護により東京でも活躍し,筑前琵琶の全国普及に貢献した。門弟に,一世を風靡した高峰筑風(高峰三枝子の父)がいる。
(山口修)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報