告朔の餼羊(読み)こくさくのきよう

故事成語を知る辞典「告朔の餼羊」の解説

告朔の餼羊

古くからの習慣は、実質的な意義を失っていても、むやみに廃止すべきではないことのたとえ。また、実質を失って形式ばかり残っていることのたとえ。

[使用例] はたきを一通り障子へかけて、ほうきを一応畳の上へ滑らせる。それで掃除は完成した者と解釈している。〈略〉告朔の餼羊と云う故事もある事だから、これでもやらんよりはましかも知れない[夏目漱石*吾輩は猫である|1905~06]

[由来] 「論語はちいつ」に出て来る話から。紀元前一一世紀ごろ以来の長い伝統を誇るという国には、毎月の一日に、「餼羊(いけにえの羊)」を霊廟に供えて、その日が朔(一日)であることを知らせる「告朔」という儀式がありました。しかし、紀元前五世紀ごろ、孔子の時代になると、この儀式の本来の意味は忘れ去られ、羊を供えるだけになっていました。そこで、弟子のこうが、いけにえにするのをやめようとしたところ、孔子は、「おまえは羊がもったいないのだろうが、私は儀式そのものがなくなってしまう方がもったいない」と反対したのでした。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

デジタル大辞泉「告朔の餼羊」の解説

こくさく‐の‐きよう〔‐キヤウ〕【告×朔の×餼羊】

魯(ろ)の国で、告朔の意義が廃れて羊を供える儀礼の形式だけが残っていたので、子貢が形式だけのいけにえはやめるべきだと言ったとき、孔子が、告の儀式が全く滅びることを惜しんで反対したという「論語八佾(はちいつ)の故事から》古くからの習慣や年中行事は、がなければ保存すべきだということのたとえ。また、実質がなくなり、形式ばかりが残っていることのたとえ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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