告朔の餼羊(読み)コクサクノキヨウ

デジタル大辞泉 「告朔の餼羊」の意味・読み・例文・類語

こくさく‐の‐きよう〔‐キヤウ〕【告×朔の×餼羊】

の国で、告朔意義が廃れて羊を供える儀礼形式だけが残っていたので、子貢が形式だけのいけにえはやめるべきだと言ったとき、孔子が、告朔の儀式が全く滅びることを惜しんで反対したという「論語八佾はちいつ故事から》古くからの習慣年中行事は、害がなければ保存すべきだということのたとえ。また、実質がなくなり、形式ばかりが残っていることのたとえ。

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精選版 日本国語大辞典 「告朔の餼羊」の意味・読み・例文・類語

こくさく【告朔】 の=&JISFBE1;羊(きよう)[=羊(ひつじ)

  1. ( 告朔の儀式に、祖廟に供えるいけにえの羊の意。魯の国で、告朔の儀式がすたれ、羊を供える形式だけが残っていたので、子貢が餼羊をやめるべきだといった時、孔子が儀礼の記憶だけでもとどめたいとして反対した「論語‐八佾」の故事から ) 虚礼であっても害がなければこれを廃止すべきではないとのたとえ。また、実を失って形式ばかり残っていることのたとえ。
    1. [初出の実例]「衆寮僧堂云者。其猶魯之告朔餼羊」(出典:業鏡台(1394‐1428頃)送万年蔵主帰関西連句詩序)

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故事成語を知る辞典 「告朔の餼羊」の解説

告朔の餼羊

古くからの習慣は、実質的な意義を失っていても、むやみに廃止すべきではないことのたとえ。また、実質を失って形式ばかり残っていることのたとえ。

[使用例] はたきを一通り障子へかけて、ほうきを一応畳の上へ滑らせる。それで掃除は完成した者と解釈している。〈略〉告朔の餼羊と云う故事もある事だから、これでもやらんよりはましかも知れない[夏目漱石吾輩は猫である|1905~06]

[由来] 「論語はちいつ」に出て来る話から。紀元前一一世紀ごろ以来の長い伝統を誇るという国には、毎月の一日に、「餼羊(いけにえの羊)」を霊廟に供えて、その日が朔(一日)であることを知らせる「告朔」という儀式がありました。しかし、紀元前五世紀ごろ、孔子の時代になると、この儀式の本来の意味は忘れ去られ、羊を供えるだけになっていました。そこで、弟子こうが、羊をいけにえにするのをやめようとしたところ、孔子は、「おまえは羊がもったいないのだろうが、私は儀式そのものがなくなってしまう方がもったいない」と反対したのでした。

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