古代中国雅楽の舞隊編成の名称。その舞を〈八佾の舞〉という。佾とは隊列の意味で,その編成には2説ある。服虔(ふつけん)の説では1佾を8人と定め,天子の祭祀には8人8列で64人,諸侯は8人6列で48人,大夫(たいふ)は8人4列で32人,士は8人2列で16人とする。杜預(とよ)によると天子は8人8列で64人,諸侯は6人6列で36人,大夫は4人4列の16人,士は2人2列の4人と縦横同数に説く。また楽器も天子は東西南北の4面,諸侯は3面,大夫は2面,士は1面に限ったという。魯の実権者の季孫氏が天子の特権である八佾の舞を自分の御霊屋の中庭で舞わせた僭上沙汰を孔子が批判したことは《論語》八佾篇によって,よく知られるところである。今日なお台湾や韓国で,周代からの伝統により,文舞では翟(てき)(羽飾り)と籥(やく)(縦笛),武舞には干(たて)と戚(おの)の舞具をもって八佾(8人8列)や六佾(6人6列)の舞を行っているのが見られる。なお,日韓併合のおり日本政府は李王家の雅楽の八佾を六佾にするよう命じた。
執筆者:吉川 良和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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