八佾(読み)ハチイツ(その他表記)bā yì

精選版 日本国語大辞典 「八佾」の意味・読み・例文・類語

はち‐いつ【八佾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「佾」は舞楽における行列の意 ) 古く、中国・朝鮮の雅楽に用いられた舞。日本ではかなり昔に絶えた。
    1. [初出の実例]「八佾婆娑之舞客、対素影以翻裾」(出典:詩序集(1133頃)夜月照階庭詩序〈大江家国〉)
    2. [その他の文献]〔論語‐八佾〕

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改訂新版 世界大百科事典 「八佾」の意味・わかりやすい解説

八佾 (はちいつ)
bā yì

古代中国雅楽の舞隊編成の名称。その舞を〈八佾の舞〉という。佾とは隊列の意味で,その編成には2説ある。服虔(ふつけん)の説では1佾を8人と定め,天子祭祀には8人8列で64人,諸侯は8人6列で48人,大夫(たいふ)は8人4列で32人,士は8人2列で16人とする。杜預(とよ)によると天子は8人8列で64人,諸侯は6人6列で36人,大夫は4人4列の16人,士は2人2列の4人と縦横同数に説く。また楽器も天子は東西南北の4面,諸侯は3面,大夫は2面,士は1面に限ったという。魯の実権者の季孫氏が天子の特権である八佾の舞を自分の御霊屋の中庭で舞わせた僭上沙汰孔子が批判したことは《論語》八佾篇によって,よく知られるところである。今日なお台湾や韓国で,周代からの伝統により,文舞では翟(てき)(羽飾り)と籥(やく)(縦笛),武舞には干(たて)と戚(おの)の舞具をもって八佾(8人8列)や六佾(6人6列)の舞を行っているのが見られる。なお,日韓併合のおり日本政府は李王家の雅楽の八佾を六佾にするよう命じた。
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