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哲学の慰め てつがくのなぐさめDe consolatione philosophiae

世界大百科事典 第2版の解説

てつがくのなぐさめ【哲学の慰め De consolatione philosophiae】

ボエティウスの最後の著作。彼は523年,東ローマ皇帝と誼(よしみ)を通じ当時イタリアを支配していた東ゴート王テオドリックに反逆を企てたかどで〈諸官僚の長magister officiorum〉を罷免,投獄されるが,525年(または526)処刑されるまで獄中でこの本を執筆。5巻からなり,全体は韻文と散文とを交互に配した〈メニッポス風〉という形式にのっとって著されている。顕職から一挙に囚人の身となり,悲運をかこつ彼が提起するさまざまな問いに対し,女神に寓意化された〈哲学〉が答える体裁がとられており,プラトンの《ティマイオス》の新プラトン主義的解釈を軸に,神と世界との関連が主題とされる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

世界大百科事典内の哲学の慰めの言及

【キリスト教文学】より

…フランスのボルドーに生まれた,ノラのパウリヌスも彼につづくすぐれたキリスト教詩人であるが,さらに優しい心情で聖フェリクス誕生の祝歌や,キリスト者の婚礼歌などをつくっている。 これにつづく5~6世紀は,帝国西部がゲルマン民族に攻略され,不安と騒乱に陥った時代で文学もまったく衰えたが,信仰の情熱は対比的にはげしくなり,アウグスティヌスの弟子である護教家オロシウスや,《神の統治について》などの著者サルウィアヌス,最もキリスト的な詩人といわれるセドゥリウスSedulius(470年ころ活動),散文では《哲学の慰め》で知られるボエティウスや,《教会史》を著作目録に含むカッシオドルスがあり,布教活動の面では,5世紀の教皇レオ1世ののち,ベネディクト会をはじめたベネディクトゥスと教皇グレゴリウス1世が特筆に値する。この3人はいずれも教義の確立や修道会の規制のため,説教,論説,書簡など多量の著述をもったが,ことにベネディクトゥスの〈修道会会則(ベネディクトゥス会則)〉は後世に大きな影響を与えた。…

【ボエティウス】より

…前2世紀以来の有数のローマ貴族の出自であり,5世紀当時イタリアを支配していた東ゴート族テオドリック王朝下において宰相の地位にまで昇ったが,コンスタンティノープルとローマ教会の首位権をめぐる抗争や東ローマ帝国と東ゴート王国との対立にまきこまれ失脚,投獄されパビアにおいて処刑された。獄中で書いた《哲学の慰め》は哲学入門書として広く読みつがれた。彼はその家系から〈最後のローマ人〉,また著作の及ぼした影響から〈最初のスコラ哲学者〉と称される。…

【ラテン文学】より

…このほか5世紀初頭には文献学者マクロビウスや,いわゆる自由七科についての百科全書的記述によって,中世教育制度の基礎を築いた修辞学者のマルティアヌス・カペラがいる。さらに6世紀には,中世に聖書に次いで愛読された《哲学の慰め》の著者ボエティウスが,最後の世俗ラテン作家となった。世俗詩人も6世紀中葉のコリップスCorippusあたりが最後であろう。…

※「哲学の慰め」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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