善玉(読み)ゼンダマ

デジタル大辞泉 「善玉」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐だま【善玉】

善人のこと。江戸時代草双紙などの挿し絵で、円の中に「善」の字を書いて顔とし、善人を表したのに基づく。⇔悪玉
芝居映画で善人の役。
[類語]善人お人好し好人物真人間正直者人格者い子馬鹿正直おめでたい人がめでたい能天気朴直愚直

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精選版 日本国語大辞典 「善玉」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐だま【善玉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「玉」はもと江戸の遊里で、女の意。転じて、広く人にもいう ) 善人。性質のよい人。また、比喩的によい作用をするものについてもいう。
    1. [初出の実例]「なんぼ庄さんがぜんだまになったとって」(出典:洒落本・青楼五雁金(1788)三)
  3. ( 「玉」に「魂」をかけて ) 江戸時代、草双紙などのさし絵で、善人または悪人であることを明示するため、人の顔を丸く書いて、その中に善または悪の字を記したが、その善の字のあるもの。また、○の中に「善」の字を書き、人間を善くする精神や霊魂を表わす印ともする。山東京伝の黄表紙「心学早染艸」(一七九〇)によって流行。
    1. [初出の実例]「仁義礼智は天の恵む善玉(ゼンダマ)、酒色財は人の貪る悪玉にして」(出典:人情本・軒並娘八丈(1824)二)
  4. 美しい芸妓を俗にいう語。また、一般に美しい人。〔最新百科社会語辞典(1932)〕

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故事成語を知る辞典 「善玉」の解説

善玉

善人のこと。

[使用例] お医者の世界観は、原始二元論ともいうべきもので、世の中の有様をすべて善玉悪玉の合戦と見て、なかなか歯切れがよかった[太宰治満願|1938]

[由来] 江戸時代の一七九〇年に出版された、山東京伝の『しんがくはやそめぐさ』という草双紙の挿し絵で、人間のよい心を表すため、顔の部分が「善」の字を書いた玉になっている人間の形を描いたところから。

[解説] この本では、人間の悪い心は、顔の部分が「悪」の字を書いた玉になっている人の形で描かれており、そこから「あくだま」ということばも生まれています。

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