喪家の狗(読み)ソウカノイヌ

デジタル大辞泉 「喪家の狗」の意味・読み・例文・類語

そうか‐の‐いぬ〔サウカ‐〕【喪家の×狗】

《「孔子家語」困誓から》不幸のあった家で、家人が悲しみのあまりえさをやるのを忘れ、元気のなくなった犬。転じて、ひどくやつれて元気のない人。一説に、宿なしになった犬の意とも。

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精選版 日本国語大辞典 「喪家の狗」の意味・読み・例文・類語

そうか【喪家】 の 狗(いぬ)

  1. 喪中の家の飼犬。不幸があった家では悲しみのあまり犬の世話も忘れるので、やせおとろえている。一説に、宿なしの犬。また転じて、見る影もなくやつれて元気のない人のたとえ。喪狗(そうく)
    1. [初出の実例]「そこらに隠せし喪家(ソウカ)犬塚、外より洩れては物もなし」(出典読本南総里見八犬伝(1814‐42)四)
    2. 「遂に熱中煩悶して喪家(サウカ)の狗(イヌ)の譏を招くに至れり」(出典:文明論概略(1875)〈福沢諭吉〉二)
    3. [その他の文献]〔孔子家語‐困誓〕

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故事成語を知る辞典 「喪家の狗」の解説

喪家の狗

やつれて元気のない人のたとえ。

[使用例] 革命元勲ともあろう人々が〈略〉叛逆者として喪家の狗のように死んでいったのはなぜか[平野謙粛清とはなにか|1957]

[由来] 「史記孔子せい」に出て来るエピソードから。紀元前五世紀の初め、春秋時代の中国の思想家、孔子が、諸国を巡り歩いていたときのこと。ていという小さな国で、孔子は弟子たちとはぐれ、都の東の門でひとりたたずんでいました。すると、それを見かけた地元の人が、ある孔子の弟子に、「東の門のところにだれかいたけれど、『纍纍るいるいとして喪家の狗のごとし(心細そうで、飼い主さんが喪中できちんとえさをもらっていない飼い犬のようでしたよ)』」と教えてくれました。あとでそのことを孔子に告げると、孔子は喜んで笑ったということです。なお、「喪家」を、飼い主がいないという意味だとする解釈もあります。

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