「じ」「ぢ」「ず」「づ」の仮名、およびそれらによって表される音韻をいう。「四つ仮名」の名称は1727年(享保12)刊の『音曲玉淵(ぎょくえん)集』にみえるのが古い。この四つの仮名の表す音韻はもと区別があったが、室町時代末期になると、「じ」「ぢ」は[ʒi][dʒi]、「ず」「づ」は[zu][dzu]となって、それぞれが混同されるようになり、江戸の元禄(げんろく)(1688~1704)ごろにはほぼ現代と同じようになった。それとともに仮名づかいを誤ることも多くなり、この四つの仮名の仮名づかいを説いた『蜆縮凉鼓(けんしゅくりょうこ)集』(1695)のような書も出されるようになった。
[坂梨隆三]
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…近世前期の上方語は寛文年間(1661‐73)を境に2期に区分され,前期がまだ中世的特徴を残しているのに対して後期の元禄年間(1688‐1704)には近世語的特徴が明確になるとされている。その特徴は,ジとヂ,ズとヅの〈四つ仮名〉の混同が顕著になり,また動詞などの二段活用の一段化,敬語法の多様化などがあげられる。語彙も,元禄文化を担った町人層の生活から生まれた新しいことばが急増し,遊里語などの特別なことばも形成される。…
※「四つ仮名」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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