改訂新版 世界大百科事典 「四万」の意味・わかりやすい解説
四万[温泉] (しま)
群馬県北西部,吾妻(あがつま)郡中之条町の北部にある温泉。四万川上流部の渓谷に臨む,温泉口,山口,新湯(あらゆ),日向見(ひなたみ)の4温泉の総称で,四万温泉郷とも呼ばれる。開湯の歴史は古く,源頼光の四天王の一人碓井貞光の発見とか,坂上田村麻呂が奥羽征討のおり湯宿を設けたとかいわれ,伊香保,草津とともに北関東の名湯として知られた。セッコウ食塩泉,43~82℃。旅館,民宿のほか新湯と日向見の間には企業などの保養施設もある。1954年に国民温泉に指定された。地元資本の温泉旅館が多く,平地がきわめて少ないこともあり,新しい旅館の進出はあまりみられない。観光客のほか,7~10日くらい滞在する湯治客も多い。近くに日向見薬師,嘉満ヶ淵(かまがふち)があり,ここから法師(ほうし)温泉へ抜ける赤沢林道は好ハイキングコースとして知られる。JR吾妻線中之条駅からバスの便がある。
執筆者:有末 武夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報