中之条(読み)なかのじょう

改訂新版 世界大百科事典 「中之条」の意味・わかりやすい解説

中之条[町] (なかのじょう)

群馬県北西部,吾妻(あがつま)郡の町。2010年3月旧中之条町が六合(くに)村を編入して成立した。人口1万8216(2010)。

中之条町西部の旧村。吾妻郡所属。人口1842(2005)。北は長野・新潟両県と接する。吾妻川に注ぐ須川流域山地を占め,総面積の90%が林野である。隔絶性が強い山村で,入山には木曾義仲の残党が住みついたという落人伝説が伝わる。元山には1944-65年の間,群馬鉄山が操業し,長野原~太子間には鉄鉱石運搬用に鉄道が敷設されていたが,71年に廃された。過疎地域に指定されており,現在も人口減少が続いている。村の北端にある野反(のぞり)湖は,新潟県側に流れ出る中津川をせき止めてつくられた発電用ダム湖。花敷(重曹泉,43℃),尻焼(セッコウ泉,54℃)などの温泉がある。

中之条町東部の旧町。吾妻郡所属。人口1万7556(2005)。吾妻川中流の中之条盆地支流の四万(しま)川流域を占める。町域の大半は山林で,河岸段丘上は開田されているが,山間部ではコンニャク,シイタケの栽培,畜産が行われる。中心集落は胡桃くるみ)沢を境に西側を中之条,東側を伊勢町と呼ぶ街村型の谷口集落で,近世に吾妻川と四万川の流域を後背地とする市場町として発達した。現在も郡の中心をなすが,人口減少が著しい。四万川上流には四万温泉をはじめ,沢渡(さわたり),大塚の温泉がある。富沢家住宅日向見(ひなたみ)の薬師堂は重要文化財。JR吾妻線,国道145号線,353号線が通じる。
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