日蓮が諸宗を批判した言葉。〈念仏無間(ねんぶつむけん)禅天魔(ぜんてんま)真言亡国(しんごんぼうこく)律国賊(りつこくぞく)〉のこと。日蓮は仏教を学んだ結果,仏教体系の正確な把握が必要であり,その中心をなすものは《法華経(ほけきよう)》にあるとの結論に達した。その立場から,最初は主として,浄土教の念仏信仰を,仏教の教主釈尊をないがしろにするために無間地獄に陥ると批判し,禅に対しても悪世においては凡人,凡僧が〈さとり〉を開くことは困難であって,久遠の教化をつづける釈尊の〈救い〉を待つべきであるとした。後年,祈禱仏教の真言宗や戒律のきびしさを誇る律宗にも批判を加えた。後人がこれを要約したのが四箇格言で,日蓮の宗教の激しさを示すものとされるが,このような批判の背後には,仏教の体系的把握があり,そのうえでこの言葉を理解する必要があろう。
執筆者:渡辺 宝陽
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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