回転は,時間と関係のあるものとないものとに大別される。一般に前者は回転数,あるいは回転速度,角速度などと呼ばれている。単位は1分間の回転の数を,回毎分(rpm。revolution per minuteの略)で示すことが多い。後者は,時間の次元がなく,単に回転,あるいは回転の数という。ふつう,機械的な回転数を測定する計器が回転計である。またこれは,回転速度計あるいはタコメーターtachometerとも呼ばれる場合がある。時間に無関係な回転のみを測定する場合には,カウンター,回数計,度数計などと呼ばれている。回転の速度が低いときには,とくに回転計を用いなくても,1回転ごとに発生する音や光などを数え,ストップウォッチでその時間を測定して,平均回転数を求めることができ,300rpmくらいまでの測定が可能である。
回転体が一定時間に何回転したかを,機械的な機構によって自動的に計測し,回転数として目盛板上に表示する。この種の回転計で,比較的精度がよく,簡便のため広く利用されているのが,図1に示すハスラー回転計である。これは,手動ボタンによって時計機構が動作(約3秒)し,その間の回転の数から回転数を求める。時計機構の正確さが,回転数の測定精度に対応する。
回転によって生ずる固体または流体の遠心力を利用する。図2に,機械的な回転計の動作原理を示す。2個のおもりmは,軸の回転数の2乗に比例した遠心力を生ずる。これの変位をばねsでつり合わせ,その量をアナログ表示するようになっている。
発電機の発生電圧は,回転数と対応性がある。このことから回転数を求める方式で,交流形と直流形に大別される。とくに,交流形は発生周波数からも回転数の測定ができる。図3は直流形の電気式回転計の構成図である。
磁石を電導体の近くで回すと,導体に渦電流が生じ,磁石の回転速度に応じた力で,導電体が回転方向にひかれる。これを,つる巻ばねでバランスさせて,変位角度から回転数を測定する。図4は,自動車のスピードメーターとして使用されているものの構造図である。回転の測定はオッドメーター(走行距離計)として用いられている。
電子回路技術の発達により,従来の回転計では得られなかった高精度,広範囲の測定が容易になった。しかし,これらの根本的な動作原理は,すでに応用されていたものであるが,ただ電子回路を用いることによって,その性能が画期的に向上した点が特徴的である。
回転している円板に,等分図形を描き,一定の周期で点滅する放電管で観測したとき,放電管が点滅を繰り返す間に,円板の模様の間隔が整数倍だけ回転すれば,実際には円板が回転していてもあたかも静止しているかのように見える。この場合の回転数は,図形の等分数と点滅光の周期(周波数)との間に,一定の関係が成立し,これから回転数が求められる。これは,点滅の周期が正確であれば,それに応じて回転数の測定精度が得られる。また回転体とは,非接触で測定できるなどの特徴がある。例えば,こまの回転数測定などに適している。
→ストロボスコープ
時計式回転計の動作原理を電子回路によって行っていると考えられる。回転体から適当な方法で,回転数に対応した電気信号を取り出し,これを一定時間だけゲートで開閉して計数し回転数を測定する。これは,ゲート時間の開閉の正確さによって,測定精度が決定される。また任意の回転数,あるいは周波数が容易に測定できる。
コンデンサーの回路に,一定波形の周期的なパルスが加えられた場合,そこを流れる電流は,その波形の周波数に比例する。したがって,この電流を測定することによって回転数を求めるものである。
執筆者:仙田 修
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
機械の軸などの回転数または回転の速さを測定する計器の総称。回転の速さを測定するものは回転速度計またはタコメーターともよばれる。回転の速さは本来は角速度として表現される量であるが、工業的には一定時間内の回転数、たとえば毎分回転数(rpm)などで表されることが多いため、回転の速さを測定する計器が普通、回転計とよばれている。
回転の速さの測定には従来いろいろな方法が用いられているが、古くから多用されているのは、回転の数を数えるための十進歯車機構とそれを一定時間作動させるための計時機構とを組み合わせたもので、ハスラー型回転計が代表的である。携帯用につくられたこの計器には一種のストップウォッチ機構が内蔵されており、対象物の回転軸から計器の軸へ摩擦によって伝達された回転が、押しボタンを操作することによってその後の一定時間(たとえば3秒間)だけ計数用歯車へ伝えられて計数される仕掛けになっている。計器の目盛りは毎分回転数で目盛られており、指針を読み取るだけで毎分回転数の値を知ることができる。
回転の速さの瞬時値(つまり角速度)を連続的に測定・指示する計器には、角速度をこれに比例した他の扱いやすい物理量、たとえば遠心力、流体の粘性力、電磁誘導による起電力などに変換して測定するものが多い。この種の計器の例としては、機械的な遠心式回転計、流体遠心式回転計、摩擦板式回転計、粘性式回転計、発電機式回転計、渦電流式回転計などがあげられる。
機械的接触によって対象物から回転を取り出すことができない場合には、ストロボスコープ(所定の周波数で点滅を繰り返す発光装置)が回転速度計として用いられる。ストロボ光源の周波数を調節して対象物の毎秒回転数に一致させると対象物の像が静止して見えるので、このときの周波数を読み取って回転の速さを知ることができる。
回転の数および速さのいずれをも測定できる装置として、1回転ごとに整数個のパルス信号を発生する回転エンコーダー(角度エンコーダー)が1970年ごろから多く使われるようになった。これは、対象物の回転軸に取り付けた符号板や指標を光電式または電磁式の検出器で読み取る信号発生器である。その出力パルスの数を電子カウンターで数えることによって回転の数を表示し、また、単位時間当りの数を数えることによって回転の速さを表示することができる。
[三井清人]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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