陰極,陽極を含む電子管に気体を封入して電圧をかけると内部で電離,放電を生じ,真空管とはまったく異なった電流-電圧特性を示す。この性質を利用したものが放電管であり,以下に示すものが往時多数使われたが現在では大半の用途が半導体に置き換えられている。定電圧放電管はグロー放電といわれる放電形式を利用し,両極間の電圧が一定に保たれるようにした放電管で定電圧電源に広く用いられた。熱陰極整流放電管は真空管の負の空間電荷をイオンで中和し,30A程度の大電流を流すようにしたもので,アーク放電を利用する。サイラトロン(熱陰極格子制御放電管)はアーク放電を利用した3極管で,ある格子電圧で放電が開始すると陽極電圧が負になるまで止まらない性質を利用し機械の制御などに用いられる。ガイガー=ミュラー計数管は管の中に放射線が入射すると1個のパルスを出力するようにした放電管で放射能測定などに用いる。
→電子管
執筆者:長谷川 伸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
低圧ガスとか蒸気内の放電現象を利用した電子管。熱陰極を用いたものはアーク放電を、冷陰極を用いたものはグロー放電を利用したものが多い。冷陰極の真空放電管はクルックス管ともよばれ、初期の陰極線管、X線管として重要な役割を果たした。真空度チェック用のガイスラー管も冷陰極真空放電管である。放電管は、水銀蒸気を用いた水銀整流器、サイラトロン、定電圧を得るためのコロナ放電管、低圧ガスを封入した定電圧放電管、デカトロン(計数放電管)、リレー管など種々利用されたが、寿命安定性の点で難点があり、半導体素子に置き換えられている。しかし、放電に伴う雑音を利用したレーダーの切替え管、雑音発生用の放電管、発光現象を利用した閃光(せんこう)放電管などのほか、ストロボ放電管、ネオンランプ、蛍光灯の点灯管としてのグロースターターなどにも広く利用されている。プラズマディスプレーはグロー放電を利用した微細放電管を配列したものである。
[岩田倫典]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
定電圧放電管,計数放電管(デカトロン),リレー放電管などはグロー放電を利用したもので,水銀整流管,サイラトロンなどは真空管と同様,熱電子放出用電極を用いている.放電化学反応を利用するものとしては,無声放電を起こすオゾナイザー(ジーメンス管やその改良型)がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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