江戸初期の仮名草子。鈴木正三(しょうぞう)の遺稿を弟子の義雲(ぎうん)、雲歩(うんぽ)両名が刊行した片仮名交じり本。3巻(先に出た絵入り平仮名十一行本6巻は了意筆)。1661年(寛文1)刊。各説話ともに正三自身が見聞した諸国の怪異譚(たん)で、すべて仏教的因果応報の事実として、時、処(ところ)、名などを掲げ「聞ク人慥(たし)カニ語ル也(なり)」「見タル人多シ」などと言い添えてリアリティを強調している。しかし、その意図された教訓性よりも、むしろ説話的興味によって世に迎えられ版を重ねた。西鶴(さいかく)の『新因果物語』、青木鷺水(ろすい)の『近代因果物語』などその名を冠した作が多く行われた。
[青山忠一]
『『因果物語』(片仮名本・1962・古典文庫)』
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
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