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国定忠治 くにさだ・ちゅうじ

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朝日日本歴史人物事典の解説

国定忠治

没年:嘉永3.12.21(1851.1.22)
生年:文化7(1810)
江戸後期の侠客。本名は長岡忠次郎。父は上野国(群馬県)佐位郡国定村の中農与五左衛門。17歳のとき人を殺し大前田英五郎の許に身を寄せ,博徒の親分として売り出す。博奕を業とするが,縄張りのためには武闘を辞せず,子分を集めて私闘を繰り返した。天保5(1834)年島村伊三郎を謀殺したことから関東取締出役追われる身となり,以降一貫して長脇差,鉄砲などで武装し,赤城山を根城としてお上と戦い,関東通り者の典型となった。逃亡,潜伏を繰り返すうち,同7年信州の義弟兆平を殺した波羅七を討つため大戸(群馬県)の関所を破ったり,同13年には博奕場を急襲した八州廻りの手先で二足の草鞋の三室勘助を,子分の板割浅太郎(忠治の甥)を使って殺すなど幕府のお膝元関八州の治安を脅かす不遜な存在となった。 逃亡,潜伏を支えたのは一家の子分の力もあるが,忠治をかくまった地域民衆の支持もあった。伝承によれば,同7年の飢饉(天保の大飢饉)に私財を投じて窮民に施したり,上州田部井村の名主西野目宇右衛門と語らい博奕のあがりで農業用水の磯沼をさらったりした。忠治は幕府にとって文武の敵となった。 嘉永3(1850)年夏,潜伏先の国定村で中気となり隣村(田部井村)の宇右衛門宅で療養中捕らえられ,江戸に送られ勘定奉行の取り調べの上,罪状が多すぎるため最も重い関所破りを適用され,磔と決まった。磔に当たっては,刑場大戸まで威風堂々と道中行列を演技し14度まで槍を受けて衆目を驚かせた。忠治の対極にいた幕吏(代官)羽倉簡堂は『劇盗忠二小伝』(『赤城録』)を著して,凡盗にあらずして劇盗と評した。死後の忠治は,時代が閉塞状況となるたびに国家権力と戦う民衆のヒーローとして映画や芝居などを通して甦った。墓は養寿寺(群馬県佐波郡)と善応寺(伊勢崎市)にある。<参考文献>高橋敏『国定忠治の時代』

(高橋敏)

出典|朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国定忠治
くにさだちゅうじ
(1810―1850)

江戸後期の博徒(ばくと)。上野(こうずけ)国佐位(さい)郡国定村(群馬県伊勢崎市国定町)の旧家、長岡与五左衛門(よござえもん)の長男。19歳のころから博奕(ばくち)に手を出し、21歳のとき百々(どど)村(伊勢崎市境百々(さかいどうどう))の紋治から縄張りをもらう。博奕渡世頭取(とせいとうどり)、差配(さはい)などと称して縄張り内の賭場(とば)から寺銭(てらせん)をとり、無届けの賭場を荒らして金銭を奪い取った。田部井(ためがい)村(伊勢崎市田部井町(たべいちょう))の溜池(ためいけ)ざらいのとき名主の宇右衛門(うえもん)と共謀して、集めた人足に小屋掛けの賭場で博奕をさせ、寺銭の上前をはねたりもした。関東取締出役(とりしまりしゅつやく)の追及を受け何度も赤城(あかぎ)山中に隠れたが、1842年(天保13)9月、忠治処刑の罪状の一つでもある大戸(おおど)(吾妻(あがつま)郡東吾妻町大戸)の関所を破り信濃(しなの)国(長野県)に逃げ込んだ。その後国定村に戻ったが、50年(嘉永3)7月、妾宅(しょうたく)で倒れ中風となり、宇右衛門にかくまわれているところを密告されて捕らえられ、同年12月、磔(はりつけ)になった。忠治の墓は長岡家の菩提寺(ぼだいじ)、伊勢崎市国定町の養寿寺にあり、忠治寺として遺品も残っている。今日、映画、講談、浪曲などで描かれる忠治像は民衆の味方のように扱われているが、それらはいずれも虚構である。忠治を題材とする戯曲としては、新国劇の極め付きとなった行友李風(ゆきともりふう)作『国定忠治』(1919)、真山青果(まやませいか)作『国定忠治』(1932)、新しい観点での忠治像を打ち出した村山知義(ともよし)作『国定忠治』(1957)などが有名である。[藤野泰造]
『今川徳三著『考証幕末侠客伝』(1973・秋田書店)』

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