国泰寺跡(読み)こくたいじあと

日本歴史地名大系 「国泰寺跡」の解説

国泰寺跡
こくたいじあと

[現在地名]中区中町

白神しらかみ社の東隣にあったが、昭和五三年(一九七八)西区己斐上こいうえに移転した。曹洞宗、鳳来山洞雲禅院と称し、本尊は正観音。開基は京都東福寺の西堂であった安芸国安国あんこく(現東区不動院)の住職恵瓊。彼は豊臣秀吉朝鮮出兵に従軍し、いわゆる朝鮮木を持帰って安国寺の再建を行うとともに、白神社の傍らの要地にこの新安国寺を建てたと伝える(知新集)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「国泰寺跡」の解説

こくたいじあと【国泰寺跡】


北海道厚岸(あっけし)郡厚岸町湾月町にある臨済宗南禅寺派の寺院建立当時は鎌倉五山派で、寺は現在も存続している。ウス(現伊達市有珠町)の善光寺、サマニ(現様似町)の等澍院(とうじゅいん)とともにアッケシ(現厚岸町)の国泰寺は蝦夷三官寺の一つに数えられた。3寺院とも19世紀初頭に、幕府によって蝦夷地の教化と法務活動のために建立されたもの。国泰寺の活動範囲は、トカチ(十勝)、クスリ(釧路)、アッケシ、ネモロ根室)、クナシリ(国後)、エトロフ(択捉)だった。現在の国泰寺は改修などで建物自体は変遷を経ているが、山門本堂、1835年(天保6)年に造られた観音石仏、1842年(天保13)建立の仏舎利塔、歴代住職の墓所が残り、丘上に竜王殿、馬頭観音堂、最上徳内建立の神明社跡(のちに厚岸神社)などがあり、江戸時代のたたずまいが残る。1973年(昭和48)、国の史跡に指定され、重要文化財の「蝦夷三官寺国泰寺関係資料」が保管されている。JR根室本線厚岸駅からくしろバス「国泰寺前」下車、徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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