日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際電報」の意味・わかりやすい解説
国際電報
こくさいでんぽう
international telegram
日本と外国の都市間を国際通信回線で結んで電文を送受する国際通信サービス。電気通信事業法に基づく電気通信事業としては日本ではKDDIが取り扱っている。相手の住所まで配達される。日本の国際電報サービスは、1871年(明治4)デンマークの大北(たいほく)電信会社が日本政府の免許を受けて敷設した長崎―上海(シャンハイ)間および長崎―ウラジオストク間海底電信ケーブルの開通によって開始された。以来、海底同軸ケーブル通信、衛星通信の広帯域通信幹線が建設されるまでの約100年間、国際電報は国際通信サービスの中心的役割を果たしたが、1969年(昭和44)の年間取扱通数602万通をピークに、電話、テレックス、ファクシミリ、電子メールなどの通信手段の普及と発達により、漸次、減少傾向をたどっている。
国際電報は、利用目的、用途により、さまざまな種類(取扱指定)がある。一般に利用される「一般私報」のほか、「人命安全電報」、国連機関が利用する「国際連合憲章電報」、政府官庁が利用する「官報」、国際赤十字社が利用する「赤十字電報」、「気象電報」などがある。
国際電報の料金は、基本料金と追加料金で構成されている。それぞれ、語数に応じた料金となっており、有料語数はスペースでくぎられた単語、または文字・記号の集合体を1語とするが、10文字を超える場合は、10文字ごとに1語とする。1語の料金は国ごとに定められており、特別取扱指定、宛名(あてな)、および署名も有料語数に含まれる。
国際電報で使用できる文字は、大文字のアルファベット、数字および記号(コンマ、ピリオド、ハイフン、クエスチョン・マークなど11種類)に限られている。日本語やその他の文字、記号、イラストなどを使用した電文は、KDDIの100%子会社であるKDDIエボルバの電報サービス「でんぽっぽ」で取り扱っている。
[高橋陽一]