テレックス(その他表記)telex

翻訳|telex

デジタル大辞泉 「テレックス」の意味・読み・例文・類語

テレックス(telex)

teleprinter exchangeの略》ダイヤル相手方を呼び出し、テレプリンターを用いて通信文を伝送する通信方式加入電信

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「テレックス」の意味・読み・例文・類語

テレックス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] telex teleprinter exchange または teletypewriter exchange の略 ) 電話の自動交換と印刷電信の技術を用いた記録通信方式。ダイヤルなどで相手加入者を呼び出し、テレプリンターによって通信を行なう。加入電信。
    1. [初出の実例]「新聞社の中には、テレックスで支局から直接送稿している社もあった」(出典:蒼ざめた馬を見よ(1966)〈五木寛之〉二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「テレックス」の意味・わかりやすい解説

テレックス
telex

TEX,TWX,TLXとも呼ばれ,日本では加入電信と呼んでいる。telexは,teleprinter exchangeまたはteletypewriter exchangeの略称である。テレックスはダイヤルのついた印刷電信機であって,加入者は電話の場合と同じように呼び出したい相手番号をダイヤルして通信する。接続された後は印刷電信機の鍵盤キーをたたいて,あるいは,あらかじめ作成した紙テープを自動送信部にかけて送信する。受信側は相手から着信があると自動的に応答し,相手からの電文を直接文字として印字するほか,必要によって紙テープ上にさん孔受信することができる。文字の種類としてはアルファベット大文字,数字,日本の場合かたかななどがある。まちがって他のところに電文が届くことがないように,受信する前に端末装置が自動的に自分の略号を送信側に送るアンサーバックの機能がついている。逆に,どこから送られた電文であるかを略号で受信者に知らせる機能もついている。

テレックスサービスを最初に実施したのはアメリカで,1931年にアメリカ電信電話会社によって始められた。ヨーロッパ諸国においては,ドイツイギリスなどにおいてほぼ同時期にサービスが開始された。これら諸国のうち,アメリカは手動交換方式を,ドイツは自動交換方式を採用し,いずれも専用の電信回線による交換網を構成した。これに対してイギリスは電話交換網を利用し,ダイヤル接続後にまず電話機で打ち合わせてから印刷電信機に切り替えて通信を行う方式であった。このイギリス方式は,創設費は安くつくが電圧レベルの変動,雑音などにより通信が不安定であるため普及せず,結局52年に専用の電信交換網に切り替えた。またアメリカではウェスタン・ユニオン電信会社が58年に自動交換方式でサービスを開始した。一方,アメリカ電信電話会社も62年に自動交換方式に切り替えた。テレックスによる国際通信が普及するにつれ,国際連合の一機関である国際電信電話諮問委員会において国際テレックス網の方式,使用機器,文字符号の統一化が計られ,自動的につながる交換網で世界中にテレックスが普及した。日本ではテレックスの制度が1956年に法律化され,国内通信は日本電信電話公社(現,日本電信電話(株))によって,国際通信は国際電信電話(株)によってサービスが開始された。テレックス文字は国際的には5単位符号で表すことが標準となっているが,国内ではかたかなも用いるため6単位符号が必要となる。そこで国内通信用端末で国際接続するときには,国内と国際の関門局で符号を交換して相互通信ができるしくみとなっている。テレックス用の自動交換機としては電話用のA形交換機またはクロスバー交換機を改造したものが用いられてきた。また伝送路には一つの電話伝送路で24の電信伝送ができる搬送電信を用いてきたが,国内通信はディジタルデータ交換網を用いる方式に移行した。印刷電信機としては,印刷機,鍵盤,紙テープさん孔および読取機を一つの箱体に組み込んだ装置が使われており,旧式のものは80kgの重量であったが1980年ころから31kgに軽量化されたTEX-A4形に変わりつつある。テレックスの符号伝送速度は50ビット/sである。

欧米のテレックスは第2次世界大戦後の産業復興とともに,著しい普及,発展をみせ,国内通信だけにとどまらず国際間の通信にも使われ年々利用が増加している。日本のテレックスはサービス開始以来,官庁,企業などに使われ事務の合理化気運に乗りその加入数は1976年には7万6000までになったが,その後は年々減少している。この理由は次のように考えられている。(1)漢字を中心とする日本語がテレックスになじまないこと,(2)ファクシミリ機器など簡単な操作で記録通信ができる端末が電話網で使えるようになってきたこと,(3)テレックスが50ビット/sの通信速度であるのに対して,それよりも高速で使えるコンピューター端末が事務の合理化にはより適していること。しかしながら,国際通信に用いるテレックスは不在通信が可能なことから時差のある国際通信に適していること,タイプライターの使用になれた欧米ではテレックスが多く使われていることから,その需要は依然として増加傾向にある。

テレテックスteletexとは文書作成,編集,印刷機能を備えた文書処理装置(ワードプロセッサー)に通信機能をもたせたものであり,記録通信手段としてのテレックスの高機能版ともいえる。1976年に西ドイツ郵政省の〈通信システム発展委員会〉が郵政大臣に提案したことが発端となり,国際電信電話諮問委員会で国際的な標準方式をテレテックスと称して研究を開始し,80年11月の総会において文書通信のための基本的な方式について勧告を作成した。テレテックスはテレックスに比べ,(1)使用できる文字数が多い,(2)伝送する基本単位は1ページである,(3)伝送速度は2400ビット/sを基本としている,(4)端末で編集した文書の形式,配置どおりに受け取ることができる,(5)端末のもつメモリーを介して通信するので,端末で文書作成中にも他から受信できるなどの特徴をもつ。文書伝送に用いる電気通信網としてはパケット交換網,データ回線交換網,電話網のいずれを用いてもよく,その選択は各国の主管庁にゆだねられている。またテレテックス利用者はテレックス端末とも通信できる。ファクシミリが紙に書かれた任意の文字,図形などを模写電送するものであるのに対して,テレテックスはいったん編集処理された符号化情報の文書を送受信するため伝送効率がよく,コンピューターでも処理が簡単であるという特徴がある。

 西ドイツでは81年にテレテックスの試行実験をし,82年4月から商用サービスを開始した。ついでスウェーデンが同年5月に商用サービスを開始し,このほかアメリカ,デンマーク,ノルウェー,オーストラリア,南アフリカなどでも83年から84年にかけて商用を始めた。日本では漢字も取り扱う必要があるため,上記国際電信電話諮問委員会における研究結果もふまえて郵政省が中心となり日本語文書通信方式の標準化検討が進められ,日本電信電話公社が84年からコムワードという商品名で商用サービスを開始した。また,国際電信電話諮問委員会ではテレテックスを文書通信のみならず社章,署名,図面なども送ることのできる混合様式(ミクスモード)テレテックスの標準化を進めており,これによってディジタル方式のファクシミリとの相互通信も可能となる。テレテックスサービスで用いる宅内装置の具備機能は基本機能と標準付加機能からなり,基本機能はとくに国際通信において必須のものが挙げられている。文字はラテンアルファベット,十進数字,分数,通貨記号,句読点,算術記号などの309文字が基本であり,日本語で用いる漢字,かな文字などは標準付加機能である。文書編集の機能としては,間隔取り,後退,改行,復帰,行下げ,行上げ,拡張,文字置換などが基本となっている。また印字可能な用紙の寸法はA4判およびアメリカ標準サイズの共通部分とされている。テレテックスサービスのために電気通信網が一般にもつ機能としては,文書の蓄積,同じ文書を複数のあて先に送る同報通信,短縮アドレス,文書発送の日時通知,料金通知などの機能が標準化されている。

絶縁用,とくに無線周波の絶縁用がいしなどに使われる耐熱ガラスの一種であるホウケイ酸ガラスをテレックス(商品名)と呼んでいる。アメリカではパイレックスPyrex(コーニング社の登録商標)といわれる。アルカリ含有量をごく少なくして溶融,加工を容易にしたガラスであって,だいたいの成分は二酸化ケイ素80%,三酸化二ホウ素12%,アルミナ2%,酸化ナトリウム4%で,固有抵抗が大きく,誘電体力率が少なく,機械的強度が強く,熱膨張係数が小さく,急熱,急冷にもよく耐え,化学的にも安定である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「テレックス」の意味・わかりやすい解説

テレックス

加入電信とも。加入者が印刷電信機により,電話と同様に直接通信ができる電信。即時性と記録性を同時に備える長所をもつ。交換機を通じ相手を呼び出し,相手が不在のときも記録通信が可能。国際間の通信等に適する。タイプライターが普及している欧米ではテレックスの利用が年々増加しているが,日本では漢字がテレックスになじまないこと,ファクシミリが容易に使えるようになったことなどから逆に利用は減少している。
→関連項目ホウケイ(硼珪)酸ガラス

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テレックス」の意味・わかりやすい解説

テレックス
てれっくす
telex

telegraph-exchangeの略。電話の自動交換技術と、電信の伝送および印刷電信技術とを組み合わせた記録通信方式。加入電信ともいう。電話と同じようにテレックス番号で相手加入者に接続し、プリンターまたはディスプレー式端末等を使ってお互いに通信できるので、電話サービスと電信サービスの特徴をあわせもった通信といえる。

 日本では1956年(昭和31)から当時の日本電信電話公社(現NTT)が国内接続を主体としたサービスを、国際電信電話会社(現KDDI)が国際接続のみのサービスを開始した。加入者は着実に増加してきたが、1976年の約7万6000加入がピークであった。それ以後、ファクシミリ通信の拡大、インターネットの電子メールの普及などにより減少傾向にある。NTTコミュニケーションズは2002年(平成14)9月、サービス廃止を前提とし、新規加入受付を停止した。

[坪井 了]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テレックス」の意味・わかりやすい解説

テレックス
telex

加入電信サービス方式の一つ。 telegraph exchangeの略。電話と同じように,ダイヤルを回して相手を呼出し,テレタイプで通信する。欧米では早くから用いられ,特にアメリカでは,アメリカ電信電話会社によって 1931年に始められた TWX (teletypewriter exchange)サービスやウェスタン・ユニオン社が 62年から始めた Telexなどがある。日本では 56年9月アメリカとの間に,同年 10月東京-大阪間に開設した。以後,国外,国内の回線もでき,記録通信ができるので相手が不在でも通信文を送ることができ,料金も割安で便利なことから急速に普及した。加入者の宅内装置は,テレタイプ,操作盤,電源整流器などから成り,和文,英文ともに使用できる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android