地温探査(読み)ちおんたんさ(その他表記)underground temperature survey

改訂新版 世界大百科事典 「地温探査」の意味・わかりやすい解説

地温探査 (ちおんたんさ)
underground temperature survey

地球の表面から地中に向けて穴を掘るとしだいに温度(地温)が上昇することが知られており(地温勾配),この地温上昇は平均して100mにつき3℃程度である。しかし,地下マグマ高温岩石あるいは熱水といった熱異常が存在する場所では,地温が深さとともに急激に上昇することがある。したがって,地表に近い部分の地温分布測定することにより,地下深部の熱異常の分布を推定することが可能となる。このような調査を地温探査という。地温探査は温泉帯水層の探査として古くから用いられているが,最近ではそれよりもはるかに深くに存在する高温の熱水や蒸気といった地熱エネルギー資源の探査を目的としても用いられている。なお,地熱エネルギーはおもに地熱発電に利用されている。

 ところで,地温は気温等の大気の状態によっても影響を受けている。気温の日変化は深さ約50cm,年変化は深さ10~20m程度までの地温を乱すことが知られている。したがって,地温測定深度は深いほど好ましい。しかし,深い測定には経費がかかるので,実際は1mとか10mくらいの地温を測定し,日変化,年変化あるいは日射量風速といった気象条件を考慮して補正を加えることにより近似的な地温を求めることが多い。しかし,非常に深い熱異常を探査する場合には,浅部の地下水の流動による地温の乱れも無視できないので,深い坑井を設けて地温測定を行わねばならない。地熱探査の地温測定坑の深度は数百mに達することもある。また,近年地上や航空機あるいは人工衛星に設置された熱赤外線撮像装置で遠隔探査的に地表面温度分布を調査する方法が開発され(熱映像探査),迅速に広い地域の温度分布の概略が調査できるようになった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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