地熱発電(読み)ジネツハツデン

デジタル大辞泉 「地熱発電」の意味・読み・例文・類語

じねつ‐はつでん〔ヂネツ‐〕【地熱発電】

ちねつはつでん(地熱発電)

ちねつ‐はつでん【地熱発電】

《「じねつはつでん」とも》地下の高温・高圧の水蒸気を利用して、蒸気タービンを回転させて発電する方式。

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共同通信ニュース用語解説 「地熱発電」の解説

地熱発電

地下千~3千メートルまで井戸を掘り、地下の熱源から噴出する高温の蒸気を吸い上げてタービンを回す発電方式。火山地熱地域の分布から東北と九州に集中している。二酸化炭素(CO2)をほとんど排出せず、再生可能エネルギーに位置付けられる。天候に左右される太陽光風力に比べ安定的に発電できる。日本は米国、インドネシアに次いで世界3位となる推定約2300万キロワットの地熱資源量を誇る。

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精選版 日本国語大辞典 「地熱発電」の意味・読み・例文・類語

じねつ‐はつでんヂネツ‥【地熱発電】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ちねつはつでん」とも ) 地下から噴出する天然の蒸気または熱水を利用してタービンを回転させて発電する方式。イタリアニュージーランドで盛んに行なわれている。

ちねつ‐はつでん【地熱発電】

  1. 〘 名詞 〙じねつはつでん(地熱発電)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地熱発電」の意味・わかりやすい解説

地熱発電(ちねつはつでん)
ちねつはつでん

地中に掘削した坑井を通して地下に貯留されている地熱流体を噴出させ、その熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電方式をいう。

[湯原浩三]

発電方式

普通は地熱流体のうち蒸気のみを利用して発電する天然蒸気発電方式が採用される。イタリアのラルデレロ(フィレンツェの南西約35キロメートル)、アメリカのガイザーサンフランシスコの北約150キロメートル)、日本の松川(岩手県)のように乾いた蒸気の噴出する所はむしろ少なく、多くの場合水混じり蒸気が噴出するので、気水分離器(セパレーター)で蒸気を分離して使用する。タービンの型式としては、蒸気の中に非凝縮性のガスが多いときや小規模で一時的な発電のためには、排気を大気中に放出する背圧式タービンが用いられるが、普通は排気を復水器で凝縮させる復水タービンが用いられる。気水分離器で分離した熱水が高温多量であるときには、これを低圧蒸発(フラッシュ)させて発生した蒸気を混圧タービンの低圧段に入れて出力増加が図られる。これをフラッシュ発電といい、新しい地熱発電所にはこの型式が採用されているところが多い。復水器には直接接触式のジェットコンデンサーが採用され、それに用いる大量の水を冷却して再使用するための冷却塔が設置される。蒸気発電に対して熱水の熱エネルギーを利用して発電する熱水発電方式があるが、この方式の発電所はまだ例が少ない。

 地熱発電用のタービンはタービン入口圧力がたかだか7キログラム程度の低圧タービンであるため火力発電用のタービンに比して大型となる。また、蒸気中に含まれている非凝縮性ガスを除去するためのガス抽出器も独特の設備である。

[湯原浩三]

発電の現況

地熱蒸気の噴出は比較的安定しており、発電所の保守、運転も比較的容易で、稼動率は90%前後と非常に高い。また新しい発電所では無人化が進められている。

 地熱発電は1904年イタリアのラルデレロで始まり、第二次世界大戦後、世界各地で行われるようになった。とくに20世紀後半には石油代替エネルギーの一つとしてその開発が促進され、世界の地熱発電所の総設備容量は約870万8810キロワットに達しており、日本でも16発電所(設備容量は計54万6700キロワット)が運転している(2000)。外国の地熱発電所のなかではガイザー、ワイラケイ(ニュージーランド北島中央部タウポ)、ラルデレロが有名である。

 地熱発電は原理的に燃料を必要としないので、燃料燃焼に伴う環境汚染はない。したがってクリーンエネルギーの一つとして位置づけられている。しかし、地熱井から噴出する非凝縮性ガスのなかには少量の硫化水素が含まれており、濃度は低く環境基準以下であれば問題はないが、大量に噴出する場合は脱硫装置が必要となる。また熱水中には微量のヒ素が含まれているため、熱水は全量地下還元されているが、経済的な脱ヒ素技術が確立されれば、熱水は貴重な低温熱エネルギー資源としてそのまま各種目的に利用することができる。地熱発電のコストは大部分地熱発電所の建設費と地熱井の掘削費であり、地熱資源の質と発電型式によっても違ってくるが、試算された値は、水力・火力・原子力など、ほかの発電方法と十分対抗できる経済性をもつものである。また火力や原子力に比べると発電所の規模は小さいが、それなりの経済性をもっている点が強みであり、小規模分散型のローカルエネルギー資源としての性格も備えている。

[湯原浩三]



地熱発電(じねつはつでん)
じねつはつでん

地熱発電

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百科事典マイペディア 「地熱発電」の意味・わかりやすい解説

地熱発電【ちねつはつでん】

地下の高温の天然蒸気のエネルギーを利用して蒸気タービンを運転する発電方式。不純物を除いた天然蒸気で直接タービンを回す直接式と,熱交換器を介し水蒸気を作る間接式とがある。主として高温蒸気の豊富に得られやすい火山地帯で開発され,イタリア,ニュージーランド等で実用化されており,日本では出力各5万kWの八丁原(はっちょうばる)(大分県),葛根田(かっこんだ)(岩手県),森(北海道)などの発電所が作られている。
→関連項目クリーンエネルギー発電

地熱発電【じねつはつでん】

地熱(ちねつ)発電

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地熱発電」の意味・わかりやすい解説

地熱発電
ちねつはつでん
geothermal electric power

地下から得られる地熱流体を利用して発電すること。地下の蒸気,熱水のたまり場所を探査,発見し,それを掘ってパイプを挿入し,地表に蒸気や熱水を導き出し,タービンを回して電気を起す。天然蒸気でそのままタービンを回す方式と,天然蒸気を起源として蒸気を発生させ,タービンに送る方式とがある。世界的に有名なのはイタリアのラルデレロ発電所で,日本でも,1966年に日本重化学工業が岩手県松川で2万 kW,九州電力が 67年に阿蘇の大岳で 1.1万 kW,80年前後に八丁原で 5.5万 kW,東北電力が岩手県の葛根田で5万 kWの発電所を建設している。

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知恵蔵 「地熱発電」の解説

地熱発電

地下数千mのマグマだまりに届く井戸を掘削して蒸気や熱水を汲み上げ、熱源とし、蒸気タービンを回転させる発電方法が地熱発電。蒸気に熱水が混合する場合は熱水利用発電という。日本では53万kWの規模が開発されており、2010年に150万kW規模の実現が目標。パイプ内壁に付着する溶存物質の処理が問題。高温岩体発電は、地表から注入した水が地中の高温岩体に触れて得られる蒸気を利用する発電法。発電後、蒸気は水に戻し再利用する。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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