坂崎斌(読み)サカザキ ビン

新訂 政治家人名事典 明治~昭和 「坂崎斌」の解説

坂崎 斌
サカザキ ビン


肩書
高知新聞編集長

別名
号=坂崎 紫瀾(サカザキ シラン) 幼名=謙次 別名=鉄香女史 芸名=馬鹿林 鈍翁

生年月日
嘉永6年11月7日(1853年)

出生地
江戸(現・東京都)

出身地
土佐国(現・高知県)

経歴
江戸の土佐藩邸に藩医・坂崎耕芸の二男として生まれる。安政3年(1856年)土佐に戻り、藩校・致道館で漢学などを修める。明治5年彦根の学校教官となったが、上京して7年板垣退助の愛国公党結成に参画。8年司法省に出仕、松本裁判所判事に就任したが、征韓論のため下野。10年松本新聞主筆に転じ、11年高知に帰り、百做社編集長。13年高知新聞編集長となり、以後、「土陽新聞」「自由灯」などの新聞で自由民権の論陣を張った。15年政治演説が禁止されると遊芸稼人の鑑札を受けて馬鹿林鈍翁名乗り、民権講釈の一座を組むが、芸能界初の不敬罪に問われた。また同年板垣の遭難事件を劇化した「東洋自由曙」を上演。「自由灯」退社後は諸新聞の記者を務める傍ら執筆活動を行い、後藤象二郎や板垣の伝記を著した。晩年は維新史料編纂局編纂委員を務めた。著作坂本龍馬を描いた小説「汗血千里駒」の他、「鯨海酔侯」「維新土佐勤王史」などがある。日本で初めてビクトル・ユゴーの翻訳を手がけたことでも知られる。

没年月日
大正2年2月17日

家族
長男=坂崎 侃(哲学者)

出典 日外アソシエーツ「新訂 政治家人名事典 明治~昭和」(2003年刊)新訂 政治家人名事典 明治~昭和について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「坂崎斌」の意味・わかりやすい解説

坂崎斌 (さかざきびん)
生没年:1853-1913(嘉永6-大正2)

明治期のジャーナリスト,自由民権家。号は紫瀾(しらん)。土佐藩出身。岡山の漢学者阪谷朗盧のもとで学ぶ。1874年愛国公党に加盟し,以後自由民権運動に参加。76年長野県松本裁判所判事となり,ついで《松本新聞》の主筆となって民権思想を鼓吹。78年帰郷。《高知新聞》,ついで《土陽新聞》を発刊。植木枝盛らと民権思想の普及に奔走した。81年12月演説を禁止されるや〈馬鹿林鈍翁〉を名のって民権講釈を開始。これも禁止にあい,小説の創作に従事した。84年自由党系新聞《自由灯(じゆうのともしび)》の論説を執筆。以後各種新聞の記者をつとめた。晩年には維新史料編纂局編纂委員となる。ビクトル・ユゴーの小説の最初の翻訳者で,フランス革命を舞台にした小説《九十三年》を〈仏国革命修羅の衢(ちまた)〉として《自由新聞》(1884)に連載した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「坂崎斌」の解説

坂崎斌

没年:大正2.2.17(1913)
生年:嘉永6.11.18(1853.12.18)
明治時代のジャーナリスト。最初の名は謙次,後に斌。号は紫瀾など。江戸の土佐藩邸に医師耕雲,妻きさ子の次男として生まれる。明治7(1874)年愛国公党に参加する。以後,『高知新聞』『土陽新聞』『自由灯』などの自由党系の諸新聞で論陣を張り,自由民権派の論客としての名を高めた。政談演説が禁止されると馬鹿林鈍翁と名乗り,民権講釈を行うという一面もあった。ビクトル・ユゴーの小説の翻訳などでも知られ,『陸奥宗光』(1898)などの著書がある。晩年は維新史料編纂事務局編纂員を務めた。女権拡張論者の一面もあった。<参考文献>野崎左文「坂崎紫瀾翁の伝」(『明治文化研究』3巻9号)

(小宮一夫)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「坂崎斌」の解説

坂崎斌 さかざき-びん

坂崎紫瀾(さかざき-しらん)

坂崎斌 さかざき-さかん

坂崎紫瀾(さかざき-しらん)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「坂崎斌」の解説

坂崎 斌 (さかざき びん)

生年月日:1853年11月18日
明治時代の新聞人;小説家。維新史料編纂会常置編纂委員
1913年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の坂崎斌の言及

【講談】より

…彼はかつて白浪物を得意として〈泥棒伯円〉といわれたが,新時代を迎えて《コロンブス伝》などの翻案物をこころみるとともに,〈時事講談〉や新聞記事をもとにした〈新聞講談〉で評判になった。また,坂崎斌(びん)(1855‐1914)が82年に〈東洋一派民権講釈〉と題して自由民権を唱えてから〈政治講談〉が生まれ,やがて伊藤痴遊が出現した。80年ごろから97年ごろまでは近代講談の黄金時代で,東京の釈場は80軒,講釈師は800名にのぼった。…

※「坂崎斌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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