(読み)カン

デジタル大辞泉 「坎」の意味・読み・例文・類語

かん【×坎】

穴。くぼみ。
「―の火っ気が、快い温みを漂わせていた」〈芥川将軍
易の八卦はっけの一。で表す。水にかたどり、方位では北に配する。

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精選版 日本国語大辞典 「坎」の意味・読み・例文・類語

かん【坎】

  1. 〘 名詞 〙
  2. くぼみ。あな。
    1. [初出の実例]「昇壇、結誓、臨坎、請盟」(出典三教指帰(797頃)中)
    2. [その他の文献]〔晉書‐褚伝〕
  3. 穴を掘ること。
    1. [初出の実例]「門人以遺命龕于塔所、坎而蔵焉、以土掩之、安石浮図於其上」(出典:空華日用工夫略集‐嘉慶二年(1388)四月四日)
  4. 易の八卦(はっけ)一つ算木とかたどる。また、六四卦の一つ。。水、雨、雲をあらわし、方角では子(ね)、すなわち正北にあたる。
    1. [初出の実例]「至於神后征坎、品帝乗一レ乾」(出典:懐風藻(751)序)
    2. [その他の文献]〔易経‐説卦〕

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普及版 字通 「坎」の読み・字形・画数・意味


7画

[字音] カン
[字訓] あな・けわしい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は欠(けん)。欠は人があくびして大きく口を開く形。それを土坑に及ぼして坎という。〔説文〕十三下に「陷るなり」とあり、坎に陥る意とする。墓壙や埋牲のところをいう。土地の陥没するところで坎険の意があり、人生にたとえて坎坎廩という。

[訓義]
1. あな、はかあな、つちあな、たに。
2. ひくい、けわしい、つかれる、くるしむ。
3. うれえる、うらむ。
4. 易の卦名。方位は北にあたる。

[古辞書の訓]
名義抄〕坎 アナホル・フモト 〔字鏡集〕坎 アナ・ホル・アナホル・ケハシ・クボム・オトス・フモト・モト・キタ

[語系]
坎kham、・科khuai、窩uaiは、みなあなの意がある。陷(陥)heamはその動詞的な語。壑xak、谷kok、keang、坑kheangとも声義が通ずる。みな地の凹陥のところをいう。

[熟語]
坎軻坎坎坎陥坎侯坎止坎井坎穽坎壇坎徳坎毒・坎廩・坎坎路
[下接語]
坎・坎・下坎・科坎・遇坎・坑坎・残坎・塹坎・習坎・深坎・井坎・坎・地坎・屯坎・入坎・埋坎・坎・

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占い用語集 「坎」の解説

八卦の一つ。真ん中だけが陽爻のもの。自然界では「水」、卦徳は「陥」、人では「中男」、属性は「水」、身体では「耳」、易数は「6」、方角では「北」をあらわす。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【易】より

…左の掌中にある筮竹を右手で8本ずつ除去していき,小指の分も入れて残りが8本以内になったらやめる。残りが1本なら☰乾(けん)(天),2本なら☱兌(だ)(沢),3本なら☲離(火),4本なら☳震(雷),5本なら☴巽(そん)(風),6本なら☵坎(かん)(水),7本なら☶艮(ごん)(山),8本なら☷坤(こん)(地)。これで内卦(六爻(こう)の下半分)が得られた。…

※「坎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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