日本大百科全書(ニッポニカ) 「坐摩神社」の意味・わかりやすい解説
坐摩神社(いかすりじんじゃ)
いかすりじんじゃ
大阪市中央区渡辺(わたなべ)町に鎮座。「ざま神社」「ざまさん」ともよばれる。生井神(いくいのかみ)、福井神(さくいのかみ)、綱長井神(つながいのかみ)、波比岐神(はひきのかみ)、阿須波神(あすはのかみ)の5座(総称して坐摩神)を祀(まつ)る。神武(じんむ)天皇の時代より住居を守る神として宮中に祀られていた神で、浪速(なにわ)の大江の岸に、神功(じんぐう)皇后とも応神(おうじん)天皇とも仁徳(にんとく)天皇ともいわれる時代に祀られたと伝えるが、創建年代は不詳である。1583年(天正11)、豊臣(とよとみ)秀吉の大坂城築城の際、現在の天満橋(てんまばし)南詰の地より現在地に遷座した。『延喜式(えんぎしき)』の大社で、祈年(としごい)、月次(つきなみ)、新嘗(にいなめ)、のちに祈雨(きう)の奉幣を受ける。1936年(昭和11)府社から官幣中社に昇格した。4月22日の例祭は献花祭とも称し、草木の献花の儀がある。
[寳來正彦]