デジタル大辞泉 「雑物」の意味・読み・例文・類語 ぞう‐もつ〔ザフ‐〕【雑物】 雑多なもの。こまごました財物。ざつぶつ。「徂徠そらいの書、東涯の書もあったが…其他はごたごたした―ばかり」〈福沢・福翁自伝〉 ざつ‐ぶつ【雑物】 種々雑多なもの。こまごまとした日用の品物にいう。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「雑物」の意味・読み・例文・類語 ぞう‐もつザフ‥【雑物】 〘 名詞 〙① 種々雑多なもの。また、いろいろな財物。雑具。贓物。ぞうもの。ざつぶつ。[初出の実例]「制。凡交関雑物。其物価銀銭四文已上。即用二銀銭一其価三文已下。皆用二銅銭一」(出典:続日本紀‐和銅二年(709)三月甲申)「房の雑物をば弟子に分ち充てつ」(出典:今昔物語集(1120頃か)一三)② 調を除くもので、庸や諸国の貢献物のこと。〔令義解(718)〕③ 中世、年貢のほかに賦課された野菜、紙、藁(わら)、餠など雑多な物。[初出の実例]「仍所レ載二于右一庄々運上物仏供、人供并絹布塩等雑物、縦云二一粒一葉一、不レ可レ有二妨煩事一矣」(出典:高野山文書‐建仁三年(1203)一〇月二〇日・紀伊国司庁宣)④ 嫁入りの時に持参する衣類やこまごました道具。〔日葡辞書(1603‐04)〕[初出の実例]「お雑物(ザフモツ)慥かに受取りました」(出典:歌舞伎・四天王楓江戸粧(1804)二番目)⑤ 身分のいやしい者。雑人。[初出の実例]「おれをば番所のすすはきといふ、雑(ザウ)もつにたとへて頼むから」(出典:洒落本・美地の蛎殻(1779))⑥ 盗品。[初出の実例]「ぬすみたると申雑物も見へす」(出典:菅浦文書‐寛正二年(1461)一一月三日・菅浦大浦両庄騒動記) ざつ‐ぶつ【雑物】 〘 名詞 〙① いろいろのもの。日用の品物、家財道具などのこまごましたもの。ぞうもつ。[初出の実例]「其の他雑物(ザツブツ)の箱竈(かまど)の箱等を取り除けんとなしけるに」(出典:亜非利加内地三十五日間空中旅行(1884)〈井上勤訳〉七)② 種々雑多に入りまじった物。まじりもの。〔北史‐魚倶羅伝〕 ざつ‐もの【雑物】 〘 名詞 〙① 雑多なもの。こまごましたもの。ぞうもつ。〔雅俗幼学新書(1855)〕② 能楽で、四番目物をさす。四番目物には中心である物狂物のほかに、準脇能物、準鬘(かつら)物、遊狂物、遊楽物、執心物、現在物など種々雑多な曲趣の能が含まれるところからの称。 ぞう‐ものザフ‥【雑物】 〘 名詞 〙 こまごまとしたいろいろな物。ぞうもつ。[初出の実例]「色々な雑物(ザフモノ)を一束にしてキチンと行李に仕舞込んだ」(出典:新世帯(1908)〈徳田秋声〉二一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雑物」の意味・わかりやすい解説 雑物ぞうもの 能の曲目の分類の一つ。雑能,四番目物ともいう。五番立の能の神,男,女,狂,鬼の狂にあたるが,狂物のほか,他の分類に属さない種々の曲が割当てられるところからこの称がある。曲数は多く,現行曲の3分の1を占める。劇的で変化に富んだ曲が多い。 (1) 物狂物 『三井寺 (みいでら) 』『桜川』『柏崎』『隅田川』『蝉丸』『蘆刈』『高野物狂』『籠太鼓』『卒都婆小町』『弱法師 (よろぼし) 』など。 (2) 現在物 『春栄』『安宅』『仲光 (満仲) 』『小袖曾我』『夜討曾我』『橋弁慶』『正尊』など。 (3) 幽霊物 『藤戸』『恋重荷 (こいのおもに) 』『鉄輪』『葵上』『道成寺』『通小町』『船橋』『善知鳥』など。 (4) 遊狂,楽物 『自然居士 (じねんこじ) 』『花月』『放下僧』『唐船』『邯鄲 (かんたん) 』『菊慈童』『一角仙人』など。また他の順位の曲 (準鬘物,準脇能物) でも,四番目に扱うものがある。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by