(読み)う(その他表記)wù

普及版 字通 「塢」の読み・字形・画数・意味


13画

(異体字)
13画

[字音] オ(ヲ)・ウ
[字訓] どて・とりで

[説文解字]

[字形] 形声
声符は烏(う)。〔後漢書、馬援伝〕「塢候」の〔注〕に引く〔字林〕に、「小なり」とみえる。

[訓義]
1. どて。
2. とりで。
3. 山のくま。
4. むら。
5. 窪に通じて用いる。
6. またに作る。聖所にめぐらすものを、という。

[古辞書の訓]
名義抄〕塢 カベ 〔立〕塢 ハキリ・カベ 〔字鏡集〕塢 カハ・ムラ・ハキリ・カベ・シラツチ

[熟語]
塢候塢樹塢壁
[下接語]
花塢・村塢・林塢

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「塢」の意味・わかりやすい解説

塢 (う)

中国語の原義は小さい土手の意であるが,軍事上の防砦(ぼうさい)や民間人によって築かれた避難設備を指す場合が多い。漢代辺境に置かれた〈塢候〉は前者の例。後者については,王莽おうもう)時代以後戦乱時に民衆が〈塢壁〉を築いて自衛することが普及した。後漢末や永嘉の乱では天険を利用した山城が作られ,数百家,数千家が集結し塢主(多く豪族層)を推戴して規律ある自給的共同生活を営んだ。このような塢は漢帝国崩壊後の新しい集落形態を示し,〈村塢〉と呼ぶことがある。陳寅恪(ちんいんかく)によれば,陶淵明の《桃花源記》は外界から隔絶した塢の世界をモデルにしているという。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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