塩竈・塩釜(読み)しおがま

精選版 日本国語大辞典 「塩竈・塩釜」の意味・読み・例文・類語

しお‐がま しほ‥【塩竈・塩釜】

[1] 〘名〙
① 海水を煮つめて塩をつくるのに用いるかまど。また、その釜。釜はふつう底が浅く、石釜、貝釜、鉄釜などの各種が行なわれた。
※三代実録‐貞観一七年(875)一二月一五日「塩浜塩釜等在諸国
サトザクラの園芸品種。花は八重咲きで花弁は四〇枚位。花弁の外部が淡紅色、内部は白色雄しべの中から緑葉を二~三枚生じる。花期は四月下旬で芽は赤みをおび葉と同時に出る。塩竈桜。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・玉海集(1656)一「塩かまの散はうねりか花の波〈円恵〉」
微塵粉(みじんこ)に砂糖、塩、しそなどを加えて押枠に入れてかためた菓子。宮城県塩竈市のあたりで製造され始めたのでこの名がある。微塵粉の代わりに粳(うるち)の粉を用いたものや、あん入りのさお物もある。〔菓子大全(1840)〕
[2]
[一] 宮城県中部の地名。奈良末期には国府多賀城の外港、平安時代には製塩地として知られ、江戸時代には仙台への鮮魚供給地であり、塩竈神社の門前町として栄えた。現在は三陸漁業の根拠地、松島湾の観光基地。昭和一六年(一九四一市制。正しくは「塩竈」と表記することが定められているが、一般には「塩釜」と書くことが多い。歌枕。
[二]
謡曲融(とおる)」の古名。
② 謡曲「名所松島」のこと。帝の勅命によって奥州松島に下った臣下は、塩竈六社の明神宮守によって名所のいわれを聞き、やがて塩竈の神が現われて奇特を見せる。廃曲。
③ 謡曲。元祿一四年(一七〇一)沙門幻雲作。都六条河原院の僧が陸奥に下り、塩竈の社で長髄彦命の神霊に会って塩竈の縁起を聞き奇特を見る。廃曲。
[補注](二)(一)は、「古今集」以来、陸奥国の歌枕として多数詠まれている。左大臣源融が、河原院に塩竈の景を写して庭園を作ったことは挙例の「伊勢物語」に見え有名。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android