コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

 とおる

7件 の用語解説(融の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


とおる

能の曲名。切能物 (→尾能 ) 。世阿弥作。都一見の旅に出た東国の僧 (ワキ) が,都六条河原の院に着くと,このところの汐汲みと名のる老人 (シテ) に出会う。不思議に思う僧に老人は,昔左大臣の源融が陸奥の塩竈 (しおがま) の景をこの地に移したいわれを語り (語り) ,周囲の山々名所を教え,秋の月夜に汐を汲んで姿を消す (中入り) 。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

とおる〔とほる〕【融】

謡曲。五番目物世阿弥作。伊勢物語古今集などに取材。旅僧が六条河原院を訪れると、左大臣源融(みなもとのとおる)の霊が現れ、栄華の昔を語る。

ゆう【融】[漢字項目]

常用漢字] [音]ユウ(漢) [訓]とける とおる
固いものがとける。とけて一つになる。「融解融合融点融和渾融(こんゆう)溶融
滞りなく通る。「融資融通金融
[名のり]あき・あきら・すけ・とお・ながし・みち・よし

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版の解説

とおる【融】

能の曲名。五番目物。世阿弥作。シテは源融の霊。旅の僧(ワキ)が都に着き,河原の院の旧跡を訪れると,潮汲みの老人(前ジテ)がやって来る。桶(おけ)をかついだ老人がいうには,ここは左大臣源融の旧邸で,融は奥州塩竈(しおがま)の浦の眺望をしのんで,難波の浦から邸内の池へ海水を運ばせ,塩を焼かせて楽しんだと物語り,懐旧の思いにふける(〈語リ等〉)。また,老人は,僧の求めに応じて見え渡る京の山々を指さして教え,うち興じていたが,ふと思い出して桶で潮を汲むうちに,潮ぐもりで姿が見えなくなる(〈掛ケ合・ロンギ〉)。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

とおる【融】

とおる【融】

能の一。世阿弥作。五番目物。古名「塩竈しおがま」。旅の僧が六条河原の院の廃墟で休んでいると、汐汲みの老人が現れ、ここは源融みなもとのとおるが奥州塩竈の地を模して作った庭であると語り、景色を賞し、古事を語って消え失せる。僧がまどろむと、夢に融大臣が現れて舞い、夜明けとともに消える。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


とおる

能の曲目。五番目物。五流現行曲。世阿弥(ぜあみ)の名作。嵯峨(さが)天皇の子息源融(とおる)が京都に豪奢(ごうしゃ)な邸宅を営み、そこに歌枕(うたまくら)で有名な陸奥(みちのく)の塩釜(しおがま)の景色をそのままにつくり、海水を運ばせて塩焼く風情を楽しんだことは『伊勢(いせ)物語』にもみえる。『古今集』には、その壮大な風雅も廃墟(はいきょ)となったむなしさを、紀貫之(きのつらゆき)が「君まさで烟(けむり)絶えにし塩がまの浦さびしくも見えわたるかな」と詠じている。
 東国の僧(ワキ)が都に上り、六条河原の院に休んでいると、担桶(たご)を担いだ潮汲(しおく)みの老人(前シテ)が登場し、ここが融大臣(とおるのおとど)の風流の跡であることを語り、貫之の和歌を引き、懐旧の涙にむせぶが、旅人に四方の名所の眺望を教え、満月とともに潮を汲む態で消え去る。僧の夢のなかに、融の亡霊(後(のち)シテ)はありし日の貴族の装いでふたたび現れる。月の美をさまざまに語り舞いつつ、夜も明け方になると、彼はまた月の世界へと帰っていく。日本的な数寄(すき)の世界の極致、それも荒れ果てた思い出の跡からの栄華の幻想という前段と、月の美への回帰という視点で描いた後段とがみごとに対比され、詩趣豊かな能である。流れるような舞のおもしろさを強調した、さまざまの演出が各流にある。世阿弥以前は、源融が幽鬼の姿で登場する荒々しい能であったらしい。[増田正造]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内のの言及

【源融】より

…河原院は宇多上皇の領となった。【黒板 伸夫】
[説話と伝承]
 融の邸宅河原院は,その景観が賞され,当時の詩歌にしばしば詠じられている。なかでも,陸奥の塩釜を模したことは有名で諸書にみえる。…

※「融」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

融の関連キーワード当麻一番目物梅枝鬼畜物祝言能須磨源氏野守百万花筐海人(海士)

今日のキーワード

トランスアジア航空

台湾・台北市に本拠を置く航空会社。中国語名は復興航空。1951年、台湾初の民間航空会社として設立。83年に台湾の国産実業グループに経営移管され、組織改編を実施した。92年に国際チャーター便の運航を始め...

続きを読む

コトバンク for iPhone

融の関連情報