奇特(読み)キトク

デジタル大辞泉 「奇特」の意味・読み・例文・類語

き‐とく【奇特】

[形動][文][ナリ]《「きどく」とも》
言行や心がけなどがすぐれていて、褒めるに値するさま。「世の中には奇特な人もいるものだ」
非常に珍しく、不思議なさま。
「比の香の―なるを漸く寄りて見れば」〈今昔・六・六〉
[補説]文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「彼は奇特な人だ」を、「優れて他と違って感心なこと」と「奇妙で珍しいこと」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。
 平成14年度調査平成27年度調査
優れて他と違って感心なこと49.9パーセント49.9パーセント
奇妙で珍しいこと25.2パーセント29.7パーセント

[類語]殊勝神妙健気感心見事立派結構素晴らしい良い素敵すてき最高絶妙卓抜秀逸目覚ましい輝かしいたえなるえも言われぬ良質上質上等優良佳良純良良好上上上乗グーグッドナイスワンダフル好ましい程よい好個絶好最適じょうずうまい上出来言うことなしあっぱれ

き‐どく【奇特】

[形動][文][ナリ]きとく(奇特)
[名]神仏の持っている、超人間的な力。霊験
「宝物ぢゃと申しても―がなければ、我らごときの者の持っていらぬ物ぢゃが」〈虎清狂・鏡男

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「奇特」の意味・読み・例文・類語

き‐とく【奇特】

  1. ( 古くは「きどく」 )
  2. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. 非常に珍しく、不思議なさま。また、すぐれているさま。
      1. [初出の実例]「此の香の奇特(きどく)なるを漸く寄て見れば、草木も枯れ、鳥獣も不来ず」(出典:今昔物語集(1120頃か)六)
      2. [その他の文献]〔宋書‐武帝紀〕
    2. 心がけや行ないが普通よりもすぐれていて、ほめるべきさま。負担がかかるようなことを、すすんで行なってほめるべきであるさまにもいう。殊勝。感心。
      1. [初出の実例]「げに奇特なる信心かな」(出典:大観本謡曲・現在七面(室町末))
      2. 「梅干、茶碗、箸等差当り必要の品々を罹災者に贈りたるは、奇特(キドク)のことといふべし」(出典:風俗画報‐一九七号(1899)横浜市の大火)
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. 神仏などの不思議な力。霊験。奇蹟
      1. [初出の実例]「然るに摩拏羅にあひたてまつる、はじめ種々の奇特あり」(出典:伝光録(1299‐1302頃)鶴勒那尊者)
    2. きどくずきん(奇特頭巾)」の略。
      1. [初出の実例]「其後天和貞享ころ専ら女の着たる頭巾にて今時はきどくと呼り」(出典:随筆・嬉遊笑覧(1830)二上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「奇特」の読み・字形・画数・意味

【奇特】きとく

奇異特出。すぐれる。〔坦斎通編〕王安石)素(もと)よりり。劉元(安世)之れをす。生不屈なり。故に自ら奇特なりと。

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