(読み)うごもつ

精選版 日本国語大辞典 「墳」の意味・読み・例文・類語

うご‐も・つ【墳】

〘自タ四〙 (「うこもつ」とも)
① 土などが高く盛り上がる。また、土地が肥える。うぐもつ。うごもる。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
塵袋(1264‐88頃)三「一、にはとりあはせを三月三日にするはいかなる心ぞ これを地にまつるに地うこもてり」
② (壁などが)ゆるみふくらむ。
和英語林集成初版)(1867)「カベガ ugomotsz(ウゴモツ)
[補注]もともと訓読語系の文献に用いられた語と思われる。「色葉字類抄」には、「墳」の字訓はウゴモツ・ウゴモルがあり、両語は同根と考えられる。さらに、ウゴロモチ(鼹鼠)も同根とする説がある。

うぐろ‐もち【墳・鼠】

〘名〙 (「うくろもち」とも)
① 土などが高くもちあがること。また、もちあげること。→うぐろもつ
※観智院本名義抄(1241)「壌 ウクロモチ」
② =うぐらもち(鼠)①〔観智院本名義抄(1241)〕
※俳諧・玉海集(1656)四「うくろもちか地を持あくる霜柱〈徳窓〉」

うぐ‐も・つ【墳】

〘自タ四〙 =うごもつ(墳)
書紀(720)欽明一四年一〇月(寛文版訓)「是の夕に観覧(はるかにみはるか)せば、鉅野(おかの)(ウグモ)ち腴(こ)え、平原(ながきはら)(ひろ)く迤(の)び」

うぐ・う うぐふ【墳】

〘自ハ四〙 灸(きゅう)をすえたあとや傷などがただれる。水気をもって腫(は)れる。いぼう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※雑俳・続耳勝手(1766)「灸のうぐふが這ふ時の邪魔

うぐろ‐も・つ【墳】

〘自タ四〙 土などが高くもちあがる。うごもつ。うごもる。うごろもつ。
※大日経義釈延久承保点(1074)一〇「掌の内を空にして、稍し穹(ウクロモ)ち隆からしむ」

うご‐も・る【墳】

〘自ラ四〙 (「うこもる」とも) =うごもつ(墳)
※色葉字類抄(1177‐81)「墳 ウコモル ウコモツ」

ふん【墳】

〘名〙 土を高く盛り上げたところ。人を埋葬したつかや丘または堤防をいう。〔古詩十九首‐其一四〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「墳」の意味・読み・例文・類語

ふん【墳】[漢字項目]

常用漢字] [音]フン(漢)
盛り上がった土。堤や丘。「丘墳
土を盛り上げて造った墓。「墳墓円墳古墳

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【墳墓】より

…〈墳〉は土を高く盛った墓を指し,冢(ちよう)とも呼ばれる。日本ではその俗字,塚(つか)を使うことが多い。…

※「墳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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