眼球に強い外傷を受けると、子どもも大人も外傷性白内障を生じることがあります。外傷によって、水晶体を固定しているチン氏帯と呼ばれる細い糸の力が弱くなって水晶体亜脱臼(あだっきゅう)を起こしたり、水晶体嚢に亀裂ができたり、急速に過熟白内障になったりすることが多く、手術方法もその場の状況で臨機応変に対応していかざるをえなくなります。
また角膜、強膜や網膜にも外傷による疾患が生じていることが多く、その治療も必要です。眼内レンズが同時には入れられないこともあります。
松本 美保, 喜多 美穂里
鈍的外傷や穿孔性(孔があく)外傷により白内障になりますが、自覚症状はすぐに現れないこともあり、注意が必要です。
水晶体を支えている組織が損傷を受けて、水晶体脱臼(だっきゅう)を来している場合も多く、その場合は手術の難易度が高くなります。
バドミントンのシャトルや卓球の球など、ちょうど眼窩に入る大きさのものによる鈍的外傷が多くみられます。
視力の低下が主症状ですが、受傷後10年以上経過して初めて視力の低下を自覚することもめずらしくありません。
視力・眼圧・細隙灯顕微鏡検査、眼底検査が必要になります。
外傷性白内障は時期をみて手術を行いますが、外傷の程度により手術方法は異なり、手術成績、難易度も異なります。
坪田 一男, 鹿島 みのり
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報