改訂新版 世界大百科事典 「外因性精神病」の意味・わかりやすい解説
外因性精神病 (がいいんせいせいしんびょう)
exogenous psychosis
身体的な障害ないし疾患にもとづく精神病状態の総称。精神障害の原因は,心因性,内因性,外因性の三つに大きく分けて考えられている。心因性とは心理的な原因をさしており,内因性は,統合失調症(精神分裂病)の原因がそうであるように,遺伝的素因がある種の役割を果たしていると思われるものの,まだ原因不明性であるという意味が込められている。これに対して外因性とは,脳の器質的変化(外傷,炎症,血管障害,腫瘍など)や脳以外の身体疾患(感染症,代謝疾患,内分泌疾患など),あるいは中毒性疾患といった器質的な原因を意味している。外因性精神病では,基礎となる身体病の軽重によってあらゆる精神症状が出現しうるが,急性期には意識障害を背景に共通の症状がみられるのが特徴であり,これをボネファーK.Bonhoefferは外因反応型または外因好発型と呼んだ(1910)。ボネファーが外因反応型にあげた病像は,せん妄,もうろう状態,アメンチア,幻覚症,過敏性情動衰弱状態,コルサコフ症候群である。
→内因性精神病
執筆者:武正 建一
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