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尿毒症 にょうどくしょうuremia

翻訳|uremia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

尿毒症
にょうどくしょう
uremia

腎臓機能不全のために,尿中に排泄されるべき代謝老廃物などが,血液のなかに蓄積されて起る症候群。意識喪失にいたることの多い脳症状や,胃腸障害など全身に多彩な症状が出現する。血液から尿をろ過する糸球体の機能が 10%以下になると症状が出はじめる。急性尿毒症のなかには,はっきりした腎不全の証明ができない場合もあり,また,脳動脈硬化のため発生する動脈硬化性脳症とみなされるものも含まれる。対策は原因療法のほか,輸液透析療法が行われる。

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百科事典マイペディアの解説

尿毒症【にょうどくしょう】

高度の腎不全により尿成分などが血液中に蓄積されるために起こる中毒様症状。尿閉腎炎,特に萎縮(いしゅく)腎の末期に多くみられる。疲労しやすく,口渇,食欲不振,嘔吐(おうと),各種胃腸障害があり,頭痛,四肢痛などを訴え,昏睡(こんすい)に陥り死亡する。
→関連項目自家中毒人工透析前立腺肥大乏尿

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栄養・生化学辞典の解説

尿毒症

 腎不全の結果起こる症状で,皮膚変色,かゆみ,食欲不振,嘔吐などを呈する.血中の老廃物の排泄不全が原因とされる.

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家庭医学館の解説

にょうどくしょう【尿毒症 Uremia】

[どんな病気か]
 慢性腎不全(まんせいじんふぜん)(「慢性腎不全」)の末期や、急性腎不全(「急性腎不全」)で腎臓(じんぞう)のはたらきが極端に落ちたために、尿中に排泄(はいせつ)されなければならない老廃物が、からだの中にたまった状態を尿毒症といいます。
 尿毒症では、腎臓のはたらきが正常の10分の1以下に低下しています。治療せず、そのままにしておけば、生命にかかわるような状態になります。
[症状]
 症状は多くの臓器にわたり、さまざまです。まず最初に、疲れやすい、だるい、思考力が低下するなどの症状が現われます。からだの表面のむくみ(浮腫(ふしゅ))や、胸に水がたまる(肺水腫(はいすいしゅ)(「肺うっ血/肺水腫」))などの症状も現われます。
 神経や筋肉症状としては、知覚異常、末梢神経痛(まっしょうしんけいつう)、筋肉のけいれん、全身のけいれんなどがおこることもあります。
 消化器症状としては、食欲低下、吐(は)き気(け)、嘔吐(おうと)、口内炎(こうないえん)、口の中の味覚不良がみられます。尿毒症が進行すると、潰瘍(かいよう)や出血がみられます。また栄養不良となり、やせてきます。
 循環器症状としては高血圧がしばしばみられます。また、ひどくなるとうっ血性心不全(けつせいしんふぜん)、心膜炎(しんまくえん)が現われます。
 皮膚は黄褐色に変色し、ときには汗の尿素が皮膚に結晶を形成し斑点(はんてん)がみられます(尿毒素斑点(にょうどくそはんてん))。皮膚のがんこなかゆみも特徴的です。
 骨では発育障害、骨折、異所性石灰化(いしょせいせっかいか)(関節周囲、動脈壁、肺、心筋、眼球結膜(がんきゅうけつまく)に生じる石灰化)がみられることがあります。
 尿毒症は全身の消耗性の疾患ですので、男性ではインポテンスや精子濃度の低下、女性では無月経(むげっけい)になることがあります。
[検査と診断]
 血液検査では、尿素窒素(にょうそちっそ)やクレアチニンの値が基準値の10倍近くに上昇しています(高窒素血症(こうちっそけっしょう))。また動脈血中の炭酸ガスが増加したアシドーシス(酸性血症)の状態を示します。多くの場合、貧血がみられます(腎性貧血(じんせいひんけつ)(コラム「腎性貧血」))。血液のナトリウム濃度は正常か低値を示し、カルシウム値は低く、リン値は高い傾向にあります。
 尿検査では、たんぱく、クレアチニンをはじめとして、尿中に排泄される物質について測定が行なわれます。
 尿毒症では、多くの臓器でさまざまの障害が生じますので、X線検査、心電図、眼底検査など幅広い検査が行なわれます。
[治療]
 腎不全の状態を悪化させたり、原因となっている要素を取り除いたりすることがまず治療の最初です。たとえば、脱水、腎毒性物質、感染症、尿路閉塞(へいそく)などが原因となっているなら、その治療を行ないます。尿毒症が、根本的治療がむずかしい進行性の病気からきているのなら、透析が必要です。しかし、透析となるまでの期間を、保存的な治療を行なうことによって、ある程度延長できる可能性があります。
 保存的治療としての食事療法では、カロリーが十分な食事と、たんぱく、塩分、水分などの制限が必要となります。
 運動などについても、軽い運動にとどめたほうがいいでしょう。しかし、実際は疲れやすいため、具体的に制限しなくても、そんなに運動はできなくなります。腎臓のはたらきが高度に低下した透析導入前の慢性腎炎患者の生活指導基準を、日本腎臓学会では定めています。
 降圧薬、利尿薬、強心薬などは必要に応じて使用されます。
 保存的療法にも限界があります。限界となったなら、ただちに血液透析をしなければなりません。もとへもどらない進行性の腎臓病によって尿毒症になることが多いのですが、腎臓のはたらきが大きく低下した時点で、あらかじめ血液透析用の内(ない)シャントをつくっておきます。利(き)き腕でないほうの手首(多くは左手首)の動脈と静脈をつなぎ、腕の静脈を動脈化するわけです。そうすると静脈は太くなり、十分な血液が流れます。皮膚表面にある太くなった静脈に針を刺して、血液透析のための血流を確保します。この内シャントがあれば、いつでも血液透析ができるようになります。
 尿毒症では、医師から透析を勧められた場合、すぐ透析を開始しなければなりません。開始時期が遅れるとたいへん危険です。透析を続けていくことを維持透析(いじとうせき)といいますが、維持血液透析を週2~3回行ないます。多くの患者さんは、透析を始めると、それ以前よりからだが軽く感じられるようになります。

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世界大百科事典 第2版の解説

にょうどくしょう【尿毒症 uremia】

高度の腎臓障害によって全身的な臓器症状を起こした状態をいう。急性または慢性腎不全の進行した状態で起こる。腎臓のおもな機能には老廃物のろ(濾)過,体液の調節(酸塩基平衡電解質の調節),内分泌作用の三つがある。これらの機能が障害されるために,下記のような種々の障害が発生する。まず,ろ過作用の障害によって,代謝産物が体内に異常に蓄積する。これらの物質を尿毒症性毒素と総称するが,尿毒症性毒素のうち最も重要なものはタンパク質代謝産物で,尿素,クレアチニンなどがあり,これらの蓄積によって,幻覚などの中枢神経症状をはじめ,胃腸症状,肺水腫,心不全などの心肺症状,貧血,皮膚症状,出血を起こす。

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大辞林 第三版の解説

にょうどくしょう【尿毒症】

腎臓の機能障害により排泄されるべき尿成分が血中にたまって起こる中毒症状。嘔吐・頭痛・浮腫・意識障害などの症状を呈する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

尿毒症
にょうどくしょう

(じん)機能不全が進行すると尿量が減少し、また腎臓が有する体液の性状(量の分布、イオン組成、酸塩基平衡など)を一定に保つことが不可能となり、尿成分が血液中にたまってくる。そのために中毒様の脳および胃腸症状をはじめとして全身の諸臓器の機能障害による症状を呈する状態を、尿毒症という。慢性腎炎の末期、高血圧による腎硬化症、痛風・糖尿病などの末期、女性に多い膠原(こうげん)病、尿路の通過障害(前立腺(せん)肥大症)などが原因となる。そのほか、急性腎炎、中毒、脱水症、低血圧、両側上部尿路結石で著明な乏尿が1週間くらい続くと、急性に尿毒症状を呈することがある。
 元来、尿毒症は緩徐漸進的に発症するもので、初期には口が渇き、舌苔(ぜったい)が著しく、食欲不振となり、疲労しやすく、嗜眠(しみん)性であるが安眠できない。やがて吐き気、嘔吐(おうと)がおこり、また胃腸カタルを伴い、鼓腸や下痢が現れ、腸に潰瘍(かいよう)を生ずるために血便を排出することもある。四肢のけいれんをおこすことはあるが、全身的なけいれんはない。さらに進行すると、昏迷(こんめい)・昏睡に陥り、ついには心不全や脳血管障害のために死亡する。
 慢性腎炎や高血圧によるものは治癒の望みはまずないが、中毒や尿路障害によるものは救命の可能性がある。安静と保温に注意し、タンパク質を強く制限し、強心・利尿剤を投与し、瀉血(しゃけつ)、輸血、リンゲル液、ブドウ糖液の注射を行う。人工腎臓、腹膜灌流(かんりゅう)によって症状を緩解させることもできるが、それ以外は腎移植によるほかない。[加藤暎一]

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世界大百科事典内の尿毒症の言及

【腎不全】より

…尿にはタンパク尿,血尿がみられ,血中尿素窒素は増加する。尿の排出機能の低下から,尿毒症の症状を呈する。このような症状を示す時期を〈乏尿期〉というが,ふつう1~2週間,長くても約1ヵ月で,症状は改善に向かう。…

※「尿毒症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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