六訂版 家庭医学大全科 「外耳道湿疹」の解説
外耳道湿疹
がいじどうしっしん
Eczema in the external auditory canal
(耳の病気)
どんな病気か
湿疹とは、湿潤を主徴とする皮膚炎群の総称です。皮膚に外的刺激が加わると、浮腫性の紅斑が出現し、炎症が強くなるにしたがって
この病態の変遷を、湿疹三角と呼んでいます。湿疹は体のどの部位にも生じますが、外耳道・耳介は皮膚の直下に軟骨があるので、浮腫を生じやすい特徴があります(図12)。
原因は何か
外耳道の入口部は
症状の現れ方
①外傷性
ひっかき傷、綿棒(耳かき)による皮膚の
②細菌性
中耳炎などの化膿性病変に続発するもので、
③接触性皮膚炎
原因物質では衣服、化粧品、装身具に付属する金属、とくにニッケル、クロムやホルマリン、外用薬中に含まれる防腐剤であるパラベン、補聴器で使うイヤーモールドなどのシリコンによる接触アレルギーです(図13)。
④脂漏性湿疹
脂腺や耳垢腺の分泌異常による湿疹で、頭髪部の
⑤アトピー性皮膚炎(AD)
初期は顔面・頭部に好発する乳児湿疹様の皮疹で、いわゆる“耳切れ”が生じます。のちに
検査と診断
体部白癬では、皮疹の鱗屑から苛性カリ標本を用いて真菌要素を顕微鏡検査することで診断が可能です。
丹毒は
治療の方法
耳をいじる習慣をやめさせることと、原因物質を突きとめ、それとの接触を回避することが原則です。ステロイド外用薬が奏効しますが、使用法を誤ると強い副作用が現れるため、使用の際は専門医の指示が必要です。
立本 圭吾
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報