2014年に登録された世界遺産(自然遺産)。インド北部、ヒマーチャル・プラデーシュ州クッルー県に位置する国立公園。標高5000m以上の高山が連なるヒマラヤ山脈西部にあたる大ヒマラヤ国立公園は、寒冷な気候から万年雪となり、発達した氷河による渓谷や山岳地帯の牧草地、川辺の森林など豊かで多彩な自然が広がっている。雪解け水を源流としたジワ・ナラ川やサインジ川などいくつもの河川がインダス川へと合流し、下流の数百万の人々の貴重な水源となっている。モンスーンによる影響で降水量が多く、ハイイロジュケイやジャコウジカといった絶滅危惧種をはじめ、ヒマラヤジャコウジカ、ユキヒョウ、タールなどの固有種や希少種が生息し、動物相に応じて広葉樹林から針葉樹林まで25種の森林形態が存在し、被子植物に限れば58%が固有種である。こうした多様な動植物の宝庫で、世界屈指の高峰が連なるヒマラヤ山脈のなかの国立公園としてその雄大な自然が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はGreat Himalayan National Park Conservation Area