大倉流(読み)オオクラリュウ

デジタル大辞泉 「大倉流」の意味・読み・例文・類語

おおくら‐りゅう〔おほくらリウ〕【大倉流】

能の小鼓方流派の一。安土桃山時代の大蔵権右衛門道意を流祖とする。
能の大鼓方の流派の一。室町時代金春禅竹の子、大蔵信喜道加を流祖とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「大倉流」の意味・わかりやすい解説

大倉流 (おおくらりゅう)

能楽囃子方の流儀の一つ。大鼓方と小鼓方の両方があり,祖を同じくする。両者は音楽上譜がほぼ完全に折りあうアシライ鼓の間柄である。(1)大鼓方 能楽協会に10名余の役者が登録され,大阪,名古屋,東京などで活躍している。地方ごとに少しずつ譜が異なり,古い手組(リズム・パターン)や掛声を残しているが,手組数が少なく音楽構造が比較的単純な点は共通している。高安流宝生流(いわゆる宝生錬三郎派,古称は観世流),明治以後絶えた金春(こんぱる)流大鼓などとも音楽構造が近い。初世大蔵道加は金春氏信禅竹の息,2世九郎能氏は観世小次郎信光弟子という古い来歴をもつ流儀で,江戸時代には奈良に住み尾州徳川家に仕えた。明治期に14世繁次郎宣明が上京。15世七左衛門宣利が梅若流樹立に参加したことで家元権を取りあげられ,現在,小鼓方大倉流家元が宗家を預かっている。(2)小鼓方 現宗家は13世大倉長十郎。能楽協会に20名弱の役者が登録され,東京,大阪を中心に活躍している。流儀に重要無形文化財各個指定(人間国宝)の鵜沢寿がいる。この流儀は調緒(しらべお)(ことに横調べ)をゆるく掛け,打つ指を変えて音色を微妙に変化させる。そのため甲(かん)の音が聞きにくく,かつては乙(おつ)の音も今ほど響く音ではなかったらしい。掛声が少ないこと,装飾的な替の手組が多いことなどが特徴。音楽構造では観世流小鼓と共通する点が多い。事実上の祖である2世長右衛門は同流大鼓3世道知の養子で,江戸時代は主として金春流座付所属)であった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大倉流」の意味・わかりやすい解説

大倉流
おおくらりゅう

(1) 能の小鼓方の流儀名。流祖は大倉権右衛門宣仍 (?~1603) 。現宗家は大倉源次郎 (1957~ ) で 14世。 (2) 能の大鼓方の流儀名。小鼓大倉流から分れたもの。現宗家は小鼓方が兼務する。

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