デジタル大辞泉 「座付」の意味・読み・例文・類語 ざ‐つき【座付(き)】 1 能楽・歌舞伎などで、役者や作者などがある座に専属すること。また、その人。2 芸者・芸人などが宴席に出て最初に奏する祝儀の曲。お座付き。3 上方歌舞伎で、顔見世などのとき、新加入の役者の紹介や新座元のあいさつなどの口上こうじょうを述べること。4 所定の座に着くこと。また、席順。「様付けし人も殿になり、―も上かみへは上げず」〈浮・一代女・二〉5 座の取り持ち方。「言葉もせまり汗をかきて、―むつかしくなって」〈浮・一代男・六〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「座付」の意味・読み・例文・類語 ざ‐つき【座付】 〘 名詞 〙① 座にすわること。所定の座に着くこと。また、座につく順序。席順。[初出の実例]「明顕横座の上座に後を仏前の方へなして座(ザ)つきをせられたるを」(出典:本福寺跡書(1560頃)大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事)② 座のとりもち方。特に遊女、芸妓などが客をとりもつ様子やことばつき。[初出の実例]「此客物になれたる座付して、万に気を付て」(出典:浮世草子・西鶴名残の友(1699)五)③ 能で、その日演じられる最初の曲の冒頭に吹く笛。〔日葡辞書(1603‐04)〕④ 芸妓などが、客の座敷で最初に三味線を弾いてご祝儀の歌をうたうこと。また、その歌。座付歌。座付の歌。お座付き。[初出の実例]「悪(わる)じゃれも座附(ザツキ)になり、指(さし)をいふても聞つけぬふりをされ」(出典:談義本・当世花街談義(1754)四)⑤ 京阪の歌舞伎で、新加入の役者の紹介や、新座元が挨拶(あいさつ)をすること。[初出の実例]「中のしゃぎり打止んで、今座付(ザツキ)が始まった」(出典:浄瑠璃・関取千両幟(1767)六)⑥ 開会に述べる挨拶。席のはじめの口上。[初出の実例]「『大きに御苦労さま、左様ならわざと座付(ザツキ)を』『ハハ承知いたしました』」(出典:滑稽本・和合人(1823‐44)二)⑦ 能楽・歌舞伎・人形浄瑠璃などで、役者や作者などが、一つの座や劇団に専属すること。また、その人。[初出の実例]「進藤は〈略〉何時の頃よりか観世の脇となり座付となる由縁を聞かず」(出典:隣忠見聞集(1758)脇方の事)⑧ 宴席や茶会の席などで、最初に出る飲食物。座付菓子、座付肴(ざかな)など。[初出の実例]「祝義座着(ザツキ)之すいもの、小ぶな、二まい、ふくさ汁也」(出典:当流料理献立抄(1751‐64頃)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例