大倉郷(読み)おおくらごう

日本歴史地名大系 「大倉郷」の解説

大倉郷
おおくらごう

郷名は、文永一二年(一二七五)四月、北条実時の妻藤原氏への所領譲状(金沢称名寺文書)にみえるが、その後、延慶三年(一三一〇)正月、幕府が尼永忍の申請でその地頭職を武蔵称名しようみよう寺に寄進している(金沢文庫文書)。しかし嘉暦四年(一三二九)正月、幕府が定めた諏訪社上社五月会・御射山頭役等の結番状では大倉郷は大隅(島津)彦四郎知行分となっており(守矢文書)下地は預り所分として島津氏の知行するところであった。元徳三年(一三三一)一二月の「注進 大蔵郷名々事」(金沢文庫文書)によれば、当時、在地の土地所有状況は、道円房分についてみると、一町以上の大名主二名、二段ないし四段の小名主八名、二段ずつの浮免二名の一二名田からなり、その一斑がうかがわれる。


大倉郷
おおくらごう

和名抄所載の郷。諸本とも訓を欠く。比定地は未詳。「大日本地名辞書」は倉は谷(クラ)に通じるとして、最上小国もがみおぐに地方の谷間の地形に「大倉の名義」を求めて、最上小国川流域の最上郡東小国ひがしおぐに赤倉あかくら(現最上町)を含む一帯擬定している。


大倉郷
おおくらごう

「和名抄」所載の郷。同書高山寺本など諸本とも訓を欠くが、オホクラであろう。中世には大蔵または大倉村として郷名が継承され、江戸時代の大倉村(現佐原市)が遺称地と考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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