大博士(読み)だいはかせ

精選版 日本国語大辞典 「大博士」の意味・読み・例文・類語

だい‐はかせ【大博士】

〘名〙
令制明経博士(みょうぎょうはかせ)別称
※随筆・夏山雑談(1741)五「打まかせてはかせとばかり言へば、明経博士の事也。是を大博士といへり」
② 明治二〇年(一八八七五月に置かれた上級学位文部大臣閣議を経て授ける。同三一年一二月廃止。〔学位令(明治二〇年)(1887)〕
③ 博士の中で特にすぐれたもの。

おお‐はかせ おほ‥【大博士】

〘名〙 令制の大学寮職員経学について、助教と共に大学寮の学生に教授した。正六位下相当の官であったが、のちに五位相当となる。明経博士(みょうきょうはかせ)大学博士
職原鈔(1340)上「中古以来清中両家依次任之、号大博士(オホはかせ)

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大学事典 「大博士」の解説

大博士
だいはくし

帝国大学の発足翌年,1887年(明治20)に制定された学位令(日本)により,学位は博士および大博士の二等とすることが定められた。このときの学位令では,博士(日本)の学位は大学院に入り所定の試験を経た者またはこれと同等以上の学力がある者に対して,帝国大学評議会の議を経て授与されるものとされた。大学院の教育課程を修め,試験に合格した者に対する博士の学位授与を正則とすることを,実態はともかく制度的には意図していたといえる(日本の大学に「大学院」が正式に設置されたのは帝国大学の発足時であった)。一方,大博士の学位は,文部大臣が博士会(日本)(博士学位取得者によって構成される会議。委員は文部大臣が指名)に付して,学問上とくに功績があると認められた者に対して,閣議を経て授与されるものとされ,もっぱら推薦によって授与される学位であった。結局,大博士の学位は一度も授与されることなく,1898年の学位令改正により廃止された。
著者: 濱中義隆

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世界大百科事典(旧版)内の大博士の言及

【学位】より

…この前年には帝国大学が創立され,その中に大学院がおかれることになった。その大学院の修了者または学術上の功績の顕著な者を,文部大臣が帝大評議会に推薦して,博士学位を与える(授与権者も文部大臣)という制度で,博士の会議の議をへて大博士も授ける,というものであった。これにともない,学士号はたんなる称号となり,学位ではなくなった(ただし,大博士号を授けられる者はなく,空文に終わった)。…

※「大博士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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