デジタル大辞泉
「五位」の意味・読み・例文・類語
ご‐い〔‐ヰ〕【五位】
1 位階の5番目。律令制では正五位と従五位とがある。昇殿を許される者の最下位で、袍の色は淡い緋。五位に叙せられることを叙爵という。
2 仏語。
㋐一切の存在、事象を五つに分けたもの。色法・心法・心所法・心不相応法・無為法。
㋑修道上の位を五段に分けたもの。大乗では、資糧位・加行位・通達位・修習位・究竟位。小乗では、資糧位・加行位・見道位・修道位・無学位。
3 「五位鷺」の略。
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ご‐い ‥ヰ【五位】
〘名〙
① 仏語。
(イ) 一切の存在、事象を五つに類別したもの。色法(物質的なもの)、心法(心のはたらきの主体としての識)、心所有法(心のはたらき)、心不相応法(色法でも、心法、心所有法でも、無為法でもない、存在のあり方といったもの)、無為法(生滅変化することやはたらきをおこすことがないもの)の五法をさす。五法。
※禅海一瀾(1862)上「是に於てか釈老は仮に五位八教を説き」 〔三蔵法数‐二〇〕
(ロ) 修道上の位階を五つに分けたもの。資糧位、加行位、通達位、修習位、
究竟位の五位階をさす。〔八宗綱要(1268)下〕〔僧史略‐下〕
(ハ)
胎児が母体内にいる期間を五つに分けたもの。
受胎の日から七日ごとに羯剌藍
(かららん)、頞部曇
(あんぶどん)、閉尸
(へいし)、健南
(けんなん)の四期間と、残りの期間、鉢羅奢佉
(はらしゃきゃ)をいう。これを
胎内の五位といい、また、出産以降の生涯を五つに分けて胎外
(たいげ)の五位という。
嬰孩、童子、少年、中年、
老年の五つをいう。
※十善法語(1775)四「
託胎ののち、余の障縁なければ、かならず五位僧長す」
(ニ) 心のあり方を示した、
禅林における洞山五位の略。正偏五位、功勲五位、君臣五位、王子五位の四種を説く。
②
宮中における位階の一つ。また、その位の者。令制では正五位と従五位に分け、各上下がある。六位の蔵人
(くろうど)を除いては
殿上人(てんじょうびと)となる有資格者の
下限で、下位者とは格段の差があった。五位に叙せられることを
叙爵といい、五位の者を大夫
(たいふ・まえつぎみ)という。
位袍は浅緋色。〔
令義解(718)〕
※
万葉(8C後)一六・三八五八「此の頃のあが恋力記し集め功
(くう)に申さば五位
(ごい)の冠」
④
隠語。五位鷺は夜間に飛ぶところから、飛ぶことにかけて、立ち去ること、帰ることを、不良仲間でいう。〔隠語構成様式并其語集(1935)〕
※いやな
感じ(1960‐63)〈
高見順〉一「丸万は、〈略〉
ひとりでゴイ(帰る)した」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報