有徳（読み）ウトク

デジタル大辞泉

う‐とく【有徳】

［名・形動］
１ 徳行のすぐれていること。また、そのさま。ゆうとく。
２ 富み栄えること。また、そのさま。富裕。ゆうとく。
「―ナ者ワ常ニ心乱レ」〈天草本伊曽保・鼠〉
[類語]偉い・偉大・立派（連体修飾語として）大した・優れた

ゆう‐とく〔イウ‐〕【有徳】

［名・形動］
１ 「うとく（有徳）1」に同じ。「有徳な（の）高僧」
２ 「うとく（有徳）2」に同じ。
「―ナ人」〈日葡〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

う‐とく【有徳】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ( 形動 ) 徳行のすぐれていること。また、その人。ゆうとく。
   1. [初出の実例]「尤重_二釈教_一、兼好_二服餌_一、尊_二有道_一而敬_二有徳_一、矜_二貧窮_一而憐_二孤独_一」(出典：家伝（760頃）下)
3. ② ( 形動 ) 富み栄えること。また、その人。金持ち。有徳人。
   1. [初出の実例]「次宗景或募_二呉庭権威_一、或誇_二無双之有徳_一」(出典：摂津勝尾寺文書‐文応二年（1261）二月日・摂津勝尾寺衆徒等訴状案)
   2. 「近代泉州に唐かね屋とて、金銀に有徳(ウトク)なる人出来ぬ」(出典：浮世草子・日本永代蔵（1688）一)
4. ③ ＝うとくせん（有徳銭）
   1. [初出の実例]「仍崇寿院領和泉堺有徳之事、限_二今度_一被_二仰付_一、以後可_レ有_二御免許_一之由、懇々被_二仰出_一」(出典：蔭凉軒日録‐寛正六年（1465）一二月一〇日)

有徳の語誌

②の意味では「有得」という表記もみられるが、これは意味に影響されたものとも考えられる。近世以降は意味のいかんにかかわらず「有徳」が一般的。

ゆう‐とくイウ‥【有徳】

1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
2. ① 徳のあること。徳行のすぐれていること。また、そのさま。あるいは、その人。うとく。
   1. [初出の実例]「豈亡国の先人の為に有徳(ユウトク)の賢君を謀らんや」(出典：太平記（１４Ｃ後）一八)
   2. [その他の文献]〔礼記‐楽記〕
3. ② 富み栄えること。また、そのさま。うとく。
   1. [初出の実例]「Yǔtocuna(ユウトクナ) ヒト」(出典：日葡辞書（1603‐04）)

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【有徳】ゆう（いう）とく

徳ある人。〔周礼、春官、大司楽〕均の(はふ)（法）を掌り、以て國の學を治め、國の子弟を合す。その、の、へしむ。死せば則ち以て樂と爲し、瞽宗(こそう)に祭る。

字通「有」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」