大成庄(読み)おおなりのしよう

日本歴史地名大系 「大成庄」の解説

大成庄
おおなりのしよう

海西かいさい郡に属し、現大成を中心とする東寺領の荘園。荘域は確定しがたいが、大成おおなり(現大成)塩田しおだ(現八開村塩田)葛木かずらき(現葛木)などの地名分布、地理的条件からみて、河口近くの木曾川沿い自然堤防上に立地した荘園と推定される。規模は大きくない。

東寺末寺の伊勢国多度たど神社の神宮寺法雲ほううん寺領としてみえる嘉承元年(一一〇六)八月一四日付の堀河天皇宣旨案(東寺百合文書)を荘名の初見史料とする。延暦二〇年(八〇一)多度神宮寺は、海部郡一三条馬背里に墾田一町三反と荒廃公田空地など田代葦原三四町五反余を有していた(「多度寺鎮三綱牒」柏木貨一郎氏所蔵文書)が、この寺田などが核となって成立した荘園であろう。嘉祥二年(八四九)多度神宮寺が東寺の末寺となるに及び東寺領となり、恒例の灌頂饗料を勤めたが、一一世紀以降、同寺を天台末寺と称する延暦寺との間で係争の地とされた。訴訟の結果真言別院として認められたが、長治元年(一一〇四)延暦寺僧仁誉らが当庄内に軍勢乱入し、田畑在家押領等が行われたため、東寺はこれを朝廷に訴えている。その後も東寺領として鎌倉時代に及んだ(東寺百合文書、以下同)

東寺においては、平安末期から鎌倉前期にかけて長者渡領となっていたが、寺家組織の発展に伴い、建治三年(一二七七)八月、亀山上皇院宣により「任長者宛行之旨、永代所被付寺家也」として、領家方荘務権は執行すなわち修理別当職相伝とされた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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