精選版 日本国語大辞典 「大方・大抵・凡」の意味・読み・例文・類語
おお‐かた おほ‥【大方・大抵・凡】
[1] 〘名〙
※土左(935頃)承平五年二月一六日「おほかたのみなあれにたれば、『あはれ』とぞひとびといふ」
※万葉(8C後)一二・二九八一「大方(おほかた)は何かも恋ひむ言挙せず妹に寄り寝む年は近きを」
③ 多くのひと。
※筆まかせ(1884‐92)〈正岡子規〉一「どこがわるいといふ理くつも見出だし得ず謹んで大方の教を俟つ」
[2] 〘副〙
① 次に述べる事柄に関して、細かいことはともかく、大づかみにいえば、の気持を表わす。言いだしや書きだしに用いることが多い。だいたい。およそ。
※能因本枕(10C終)二二「おほ方わらはべなるほどの心地にも、親の昼寝したるはより所なくすさまじくぞありし」
② 否定の語を伴って用いる。ほとんど。全然。少しも。
※宇治拾遺(1221頃)一「すべて、蔬(くさびら)、おほかた見えず」
※狭衣物語(1069‐77頃か)三「大方『世になありそ』となんめりと、むつかしければ」
[3] 〘形動〙
① 事柄の量、範囲などについてその大部分に及ぶさま。あらかた。だいたい。ほとんど。おおざっぱ。
※落窪(10C後)一「お前に候はん。おほかたに人なければ、おそろしくおはしまさん物ぞ」
※浮世草子・好色五人女(1686)四「いたづらなる娘もちたる母なれば、大かたなる事は聞(きか)でも合点して」
② 事柄の質、関係、程度などが、一般的なさま。普通であるさま。世間一般。尋常。大体において適当なさま。→おおかたなし。
※後撰(951‐953頃)春中・六六「もえ渡る歎は春のさがなればおほかたにこそあはれとも見れ〈よみ人しらず〉」
③ いい加減であるさま。疎略。
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