日本大百科全書(ニッポニカ) 「大桑」の意味・わかりやすい解説
大桑(村)
おおくわ
長野県南西部、木曽郡(きそぐん)にある村。木曽谷特有の狭長な谷に沿い、国道19号が通り、JR中央本線の駅が三つある。木曽川両岸に迫る山は木曽美林を代表するヒノキの国有林で、野尻(のじり)の阿寺渓谷(あてらけいこく)の景観はもっとも木曽らしさを示す。総面積の96%を山林が占め、林業の他には稲作と畜産を行う。村内の須原(すはら)と野尻の両集落は中山道(なかせんどう)の宿駅であった。須原は、現在も宿駅当時の様相をかなり残している。定勝寺(じょうしょうじ)は、木曽義仲(よしなか)11代の孫木曽親豊(ちかとよ)の建立といわれ、現存の建物は1598年(慶長3)に再建された桃山様式の代表的建築といわれ、山門、本堂、庫裡(くり)は国指定重要文化財。このほか、元弘(げんこう)4年(1334)の棟札を残す白山神社(はくさんじんじゃ)(国指定重要文化財)や平安時代の薬師如来(やくしにょらい)などを安置する池口(ちこう)寺薬師堂などもある。桜の花漬けは名物。面積234.47平方キロメートル、人口3439(2020)。
[小林寛義]