大槐秘抄(読み)たいかいひしょう

改訂新版 世界大百科事典 「大槐秘抄」の意味・わかりやすい解説

大槐秘抄 (たいかいひしょう)

政治のあり方から日常の生活にいたるまで,天皇心得るべき事柄をまとめた意見書。太政大臣藤原伊通(これみち)が二条天皇に提出したもので,12世紀後半の成立宇多天皇が著した帝王学の書《寛平御遺誡かんぴようのごゆいかい)》や先例を引用して,仮名文で具体的に説いている。巻尾には聖徳太子の《十七条憲法》に擬して,天皇の心得を17ヵ条にまとめて列記している。《群書類従所収
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大槐秘抄」の意味・わかりやすい解説

大槐秘抄
たいかいひしょう

平安時代中期の政治意見書。1巻。太政大臣藤原伊通 (1093~1165) の著。応保2 (62) 年頃完成。二条天皇に提出したもので,かな書き。院政時代朝廷の儀式その他がゆるみがちであったため,天皇の心構え,臣下に対する態度,政治への積極的姿勢,日常生活のあり方など二十数条を説き,聖徳太子の『十七条憲法』に模して,17条の心得を記している。単なる懐古的な旧儀回復論ではなく,現実の荘園増加の事態をも直視し,荘園や知行国公卿に与えて,彼らの生活を安定させるべきであるとも説いている。『群書類従』に所収。

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