改訂新版 世界大百科事典 「大汶口遺跡」の意味・わかりやすい解説
大汶口遺跡 (だいぶんこういせき)
Dà wèn kǒu yí zhǐ
中国,山東省泰安県大汶口鎮一帯に所在し,大汶河に面している新石器時代,大汶口文化の標準遺跡。1959年の発掘では墳墓群を,74年の発掘では包含層を明らかにした。大汶口文化は通常,早・中・晩の3期に区分され,墳墓は中・晩期に,包含層は早・中期に相当する。墳墓は総数133基で早・中・晩の3期に分けられ,早・中は大汶口文化の中期に,晩は同文化の晩期に位置している。埋葬は通常副葬品を伴って単人仰臥伸展葬をとるが,男左女右の合葬墓をなすこともある。その場合副葬品は男側に集中する。副葬品には鬹(き),背負い壺,鼎,透し彫のある大型の豆,柄の長い杯,彩陶などの土器をはじめ,石製農工具,豚骨があり,農業と牧畜が行われていたことがわかる。獐牙(しようが),束髪器,象牙櫛,笄(こうがい),各種の環を身につけ,抜歯や頭骨変形を行っている。象牙や骨製品にはみるべき工芸品がある。
執筆者:下条 信行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報