天つ罪(読み)アマツツミ

デジタル大辞泉 「天つ罪」の意味・読み・例文・類語

あま‐つ‐つみ【天つ罪】

天上界素戔嗚尊すさのおのみことが犯した畔放あはなのような、農耕祭りに関する罪。→国つ罪
許多ここだくの罪を―と法別のりわけて」〈祝詞・六月晦大祓〉
朝廷命令による罰。
つつしみて―を行へ」〈継体紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「天つ罪」の意味・読み・例文・類語

あまつ【天つ】 罪(つみ)

  1. 古代の罪の一種。諸説あるが、一般には共同体における農耕に関する罪を意味すると解されている。また、素戔嗚尊(すさのおのみこと)神話において犯した罪をさすともいわれる。→国(くに)つ罪
    1. [初出の実例]「天種子命〈天児屋命の孫〉をして、天罪(アマツツミ)、国罪(くにつつみ)の事を解除(はら)へ令む」(出典:古語拾遺(亮順本訓)(807))
    2. 「天津罪(あまツつみ)と、畔放(あはなち)溝埋(みぞうみ)樋放(ひはなち)頻蒔(しきまき)、串刺(くしざし)生剥(いけはぎ)、逆剥(さかはぎ)、屎戸(くそへ)、ここだくの罪を天津罪(あまツつみ)と法(のり)別けて、国津罪と、〈略〉ここだくの罪出でむ」(出典:延喜式(927)祝詞)
  2. ( 漢語天罰」の訓読みか ) 朝廷の命による罰。天罰(うちつつみ)
    1. [初出の実例]「王師(みいくさ)を以て薄伐(せめう)ちて、天罰(あまツツミ)をも龔(つつし)み行へ」(出典:日本書紀(720)雄略九年三月(前田本訓))

天つ罪の語誌

記紀神話には「天つ罪」「国つ罪」の別がなく、挙例の「延喜式」で、その別が示される。両者区別については、素盞嗚(すさのお)神話に関係づける説(真淵・宣長)や罪の軽重に由来すると見る説(金子武雄)などがあるが、農耕と祭祀とにかかわるものであろう。この祝詞の「罪」は加害よりも被害重きが置かれて災いや穢(けが)れと認識され、それを祓(はら)い除くという発想に基づいている。

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