日本大百科全書(ニッポニカ) 「天城」の意味・わかりやすい解説
天城(町)
あまぎ
鹿児島県大島郡にある町。徳之島北西部に位置する。1961年(昭和36)町制施行。亜熱帯性気候で、海岸は隆起サンゴ礁が発達している。中心集落は平土野(へとの)で、役場などの公共施設や、徳之島空港がある。中世、琉球王国(りゅうきゅうおうこく)に属したが、近世初頭の島津氏の侵略以後、薩摩(さつま)藩の直轄領。藩はサトウキビの栽培を強制し、それに抵抗する犬田布騒動(いんたぶそうどう)などの一揆(いっき)が起こった。現在もサトウキビ農業が基幹産業で、大型製糖工場がある。闘牛が盛んであり、観光地としては、波の侵食による断崖(だんがい)と奇岩の「犬(いん)の門蓋(じょうふた)」や「ムシロ瀬」がある。南東部の三京(みきょう)地区の亜熱帯性樹木が茂る原生林中には、樹木の根が1~2メートルも地上に板状に突出する板根現象(ばんこんげんしょう)がみられる。特別天然記念物アマミノクロウサギが生息する。面積80.40平方キロメートル、人口5517(2020)。
[平岡昭利]
『『天城町誌』(1978・天城町)』