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養豚 ヨウトン

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デジタル大辞泉の解説

よう‐とん〔ヤウ‐〕【養豚】

肉などを得るために、豚を飼育すること。「養豚業」

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百科事典マイペディアの解説

養豚【ようとん】

ブタの飼養が産業として日本で発展したのは明治以後で,第2次大戦中は一時衰えたが,戦後再び増加。しかしピッグ・サイクルが示すように豚肉価格は変動が大きく,安定した産業といえるに至っていない。
→関連項目畜産ブタ(豚)

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世界大百科事典 第2版の解説

ようとん【養豚】

ブタを飼育し,食肉その他を生産すること。養豚はその内容によって種豚(しゆとん)経営,繁殖豚経営肥育豚経営の3種に分けられる。種豚経営は登録協会に登録された純粋種を飼って種畜生産を行ういわゆるブリーダーで,改良増殖の基礎となる原種豚生産を目的とした経営である。高度の技術と多額の資本を要する形態であり,経営者能力の優れた者でなければ経営を維持することは難しい。繁殖豚経営は子取りともいい,肥育素豚(もとぶた)の生産を目的としたものである。

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大辞林 第三版の解説

ようとん【養豚】

肉や皮・毛などを利用するため、豚を飼い育てること。 「 -業」 「 -場」

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

養豚
ようとん

ブタを飼育して、食肉その他を生産することをいう。その内容によって種豚(しゅとん)経営、繁殖豚経営、肥育豚経営の3種に分類される。
 (1)種豚経営は、豚の遺伝的改良を目ざし、育種・増殖の基礎となる原種豚を生産する、いわゆるブリーダー(種畜生産家)である。血統登録された純粋種を飼育し、後代検定や産子検定などの能力検定の成績を参考にして選抜を行って遺伝的改良を図る。大規模な養豚経営では、雑種強勢(ヘテローシス)を有効に利用するため近交度の高い系統豚が要求されており、高度の技術と多額の資本を必要とする経営形態である。
 (2)繁殖豚経営は子取りともいい、肥育用の素豚(もとぶた)生産を目的としたものである。飼養する個体はかならずしも純粋種である必要はなく、むしろ繁殖能力の優れた一代雑種の雌豚を用いて、三元雑種や四元雑種の子ブタを生産する養豚家が増えてきている。子ブタは体重20キログラムぐらいで肥育用素豚として売却される。子ブタをたくさん育てるためには繁殖効率を高める必要があり、交配適期の認定、分娩(ぶんべん)時の事故防止、早期離乳による回転促進などの技術が要求される。
 (3)肥育豚経営は、体重20キログラムの子ブタを購入し、5か月ほど肥育して体重90~100キログラムに肥育し、と畜場へ出荷する経営形態で、前二者よりも管理に人手を要さず多頭飼育が容易であるため、大規模なものが多い。肥育豚経営においては素豚の入手が不安定であるため、繁殖と肥育を通して行う一貫経営が大多数を占めてきている。一貫経営は繁殖と肥育という質の異なる技術を兼ね備えなければならないという困難性はあるが、一方、素豚を自家生産するため子ブタ価格の変動から逃れられ、子ブタの計画生産により合理的な経営戦略をたてやすい、子ブタの導入がないため防疫上の不安がない、肥育豚の成績をみて繁殖豚の選抜淘汰(とうた)が可能であるなどの有利な点も多い。[正田陽一]

世界の養豚

世界に飼育されているブタは約9億頭で、とくに飼育の盛んな地域は、中国を中心とした東アジアと、デンマーク・オランダ・ベルギー・ドイツといったヨーロッパの一部、アメリカの五大湖の南に広がるコーンベルトで、これを世界三大養豚地帯とよんでいる。
 ブタという家畜は、先祖のイノシシから受け継いだ広食性(なんでも食べる雑食性)をもつため、飼育法にもこれを生かして、人間の利用できない飼料資源を有効に活用する飼い方と、栄養価の高い濃厚飼料を購入して給与し、短期間に効率よく食肉生産を行う加工業的な飼い方の双方が行われる。スペイン南部のコルクガシ林のどんぐりを餌(えさ)として利用する放牧養豚(モンタネラ)や、中国南部のクリークの水草を飼料とする養豚は前者の例で、デンマークや日本で行われている養豚業は後者の形態である。[正田陽一]

日本の養豚

わが国でも縄文・弥生(やよい)時代にすでにイノシシを飼育していたと思われる遺物が遺跡から発見されている。記録のうえに明らかに記されているのは奈良時代に入ってからで、猪甘部(いかいべ)(猪養部)という職が設けられ、宮廷へイノシシの肉が献じられた。仏教の伝来とともに肉食が禁止され、養豚はとだえたが、中国文化の影響の強い沖縄や九州の一部では例外的に飼育が続けられた。明治時代に入って欧米先進国の農業が日本に紹介され、養豚がふたたび行われるようになったものの、1887年(明治20)にはわずか4万頭ほどにすぎなかった。その後しだいに飼養頭数は増加し、1938年(昭和13)には第二次世界大戦前としては最高の約114万頭に達した。そのころの日本の養豚は、農家の軒先に差しかけた小さな屋根の下で1、2頭を副業的に飼育する零細なものが主流で、餌(えさ)も残飯や農業副産物が利用されており、軒先養豚とか庇(ひさし)養豚とよばれていた。カンショづるやデンプンかすが飼料源として重要であったため、カンショ作の盛んな九州南部や関東地方でブタ飼育が盛んであった。第二次世界大戦とその後の食糧難時代にはブタの飼料事情も最悪となり、46年(昭和21)には飼養頭数も8万8000頭ほどに減少し、壊滅的打撃を受けた。しかし昭和30年代に入って飼料事情が好転すると食肉に対する需要増と相まって飼養頭数は急増し、86年には1106万頭に達したが、その後豚肉消費が頭打ちとなり、飼養頭数もやや減少し、99年(平成11)には987万頭が飼われている。一方、飼養頭数の増加に反して、養豚農家戸数は62年をピークに減少を続け、86年には最高時の10分の1の10万戸、99年には1万2500戸へと減少している。1戸当りの飼育頭数は790頭となり、専業化が目だっている。経営規模の拡大に伴って施設や飼育技術の進歩も目覚ましく、また飼育品種の変化も顕著である。第二次世界大戦の前まで日本のブタの95%を占めていた中ヨークシャーは姿を消し、純粋種としてはランドレース、大ヨークシャー、デュロック、ハンプシャーがこれにかわり、肥育豚としては雑種強勢(ヘテローシス)を利用するためのこれらの品種間の三元交雑種や四元交雑種の利用が盛んになっている。
 飼料は、輸入穀物を原料とした濃厚飼料が主体となり、かつての副産物利用はわずかに都市近郊の残飯養豚に残るにすぎない。そのため生産費中に占める飼料費の割合は高くなり、国際的な穀物市況によって養豚の景気が左右されるようになった。また経営規模の拡大は伝染病対策の重要性を増す結果を招き、ウイルス性の伝染病であるオーエスキー病や伝染性呼吸器病の予防が大きな課題となっているほか、糞尿(ふんにょう)や汚水の処理が環境汚染との関連で問題となっている。[正田陽一]
『笹崎龍雄著『養豚大成』(1988・養賢堂)』

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