天探女(読み)アマノサグメ

デジタル大辞泉 「天探女」の意味・読み・例文・類語

あま‐の‐さぐめ【天探女】

天照大神あまてらすおおみかみの命で天稚彦あめのわかひこの問責に来たきじを、天稚彦に射殺させた邪心女神後世の「あまのじゃく」はこの女神のことともいう。

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精選版 日本国語大辞典 「天探女」の意味・読み・例文・類語

あま‐の‐さぐめ【天探女】

  1. ( 「あまのさくめ」とも ) 記紀・万葉集などに見える神。表面には表われていない意味を探り出すのに長じている女神。記紀によれば、葦原の中つ国平定天命にそむいた天稚彦(あめのわかひこ)の責任追及のため高天原から遣わされた雉(きじ)の鳴き声を解して、天稚彦に射殺すよう進言した。「天邪鬼(あまのじゃく)」はこの神の名から出たという民間語源説がある。
    1. [初出の実例]「爾に天佐具売〈此の三字は音を以ゐよ〉此の鳥の言ふことを聞きて、天若日子に語りて言ひしく」(出典:古事記(712)上)

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改訂新版 世界大百科事典 「天探女」の意味・わかりやすい解説

天探女 (あめのさぐめ)

記紀の神話に出てくる女性で,人の心を探ることを役目とし,名もそれにもとづいている。国譲り神話なかで,地上に派遣されながら復命しない天稚彦あめわかひこ)に対し,天津神(高天原(たかまがはら)の神々)が雉(きじ)を遣わして訊問したところ,それを聞いたアメノサグメはアメワカヒコに進言して雉を射殺させたという。人の意にいちいち逆らうことを天邪鬼(あまのじやく)といい,また同名のものが昔話に見えるが,それらはこのアメノサグメに由来するといわれる。
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朝日日本歴史人物事典 「天探女」の解説

天探女

古事記』『日本書紀』の天稚彦(アメノワカヒコ)神話に脇役として顔を出すユニークなキャラクター。地上の葦原の中つ国の平定を命じられたアメノワカヒコが,命に逆らって中つ国を横取りしようとしたので,天照大神と高皇産霊尊は雉の鳴女を下界に遣わし,アメノワカヒコに「なぜ命令を果たさないのか」と問わせた。そのとき,アメノサグメはアメノワカヒコに「この鳥は鳴き声がよくない。射殺すのがよろしゅうございます」と進言,アメノワカヒコは,鳴女を弓で射殺したという。サグメは「探ぐる女」の意で,人の心に探りを入れるスパイもどきの人物だが,のちにサグは「逆らう」の意にとられ,民間伝承でおなじみの天邪鬼(アマノザク,アマンジャクメとも)に変身した。

(西條勉)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「天探女」の解説

天探女 あめのさぐめ

記・紀にみえる神。
高天原(たかまがはら)から葦原中国(あしはらのなかつくに)に派遣された天稚彦(あめわかひこ)が8年間も復命しなかったため,理由をききに雉(きぎし)がつかわされた。天探女はその雉を天稚彦に射殺させた。古来,魔女視され,天邪鬼(あまのじゃく)はそのなまりという説がある。「古事記」では天佐具売。

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