妙心寺境内(読み)みょうしんじけいだい

国指定史跡ガイド 「妙心寺境内」の解説

みょうしんじけいだい【妙心寺境内】


京都府京都市右京区花園妙心寺町にある臨済宗妙心寺派大本山の寺院。平安京の北西部、双ヶ丘(ならびがおか)の東の風光明媚な地「花園」には、花園上皇の離宮である花園御所があった。1335年(建武2)、花園上皇は仏門に入って法皇となり、花園御所を禅寺に改めることを発願し、1337年(延元2・建武4)、大徳寺を開いた宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)(大燈国師)の高弟関山慧玄(かんざんえげん)を開山として開かれた。6世住持拙堂宗朴(せつどうそうぼく)のとき、足利氏に反旗を翻した大内義弘と関係が深かったため、将軍足利義満の怒りにふれ寺領を没収された。その後、応仁の乱で伽藍(がらん)を焼失したが、中興の祖雪江宗深(せっこうそうしん)によって復興し、やがて大徳寺と対抗するまでになり、細川家や豊臣家などの庇護を得て、近世には大いに栄えた。伽藍は、江戸時代に再建された勅使門・仏殿・法堂・大方丈など、13棟の重要文化財をはじめとする建造物が残り、庭園も史跡名勝になっている。大宰府の観世音寺とほぼ同型で「戊戌年」(文武天皇2=698年)の銘がある梵鐘、大燈国師の墨跡は国宝。関山慧玄像を祀る塔頭(たっちゅう)玉鳳院開山堂重文)は室町時代建築で、玉鳳院庭園(史跡・名勝)もよく室町期の状態を伝えている。境内と玉鳳院、東海庵、桂春院、隣華院など38の塔頭が、1969年(昭和44)に国の史跡に指定された。JR山陰本線花園駅から京都市営バス「妙心寺前」下車徒歩すぐ。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報