妙見山前方後円墳(読み)みようけんざんぜんぽうこうえんふん

日本歴史地名大系 「妙見山前方後円墳」の解説

妙見山前方後円墳
みようけんざんぜんぽうこうえんふん

[現在地名]大西町宮脇

高縄たかなわ山塊から北に派生する標高八〇メートル前後の丘陵上に造られた古墳で、眼下いつき灘を見下ろす。瀬戸内の前期古墳の特徴である高位立地をなす。西南西七〇〇メートルのイグロ山古墳墓群と宮脇みやわき川を挟んで対蹠地にある。

当墳は大西平野全体を望見しうる山頂の松林中にあるが、戦時開墾で少し変形されている。全長五〇メートル、後円部径三一メートル、同高さ五メートル、前方部幅二九メートル、同高さ四・二八メートルである。主軸はほぼ東西で前方部を東に向けている。盛土なしの二段築成で、後円部に葺石が露出し、朝顔形埴輪片が出土している。主軸に平行竪穴式石室は長さ六・七〇メートル、幅〇・八五メートル、高さ約一メートルである。粘土床は中央がくぼみ、東隅で土師器片と鉄片数個が出土したほかは遺物未詳。この後円墳頂では近年まで春の節句に子供相撲が行われ、ここから石一個持ち帰っても病気になると伝えられ、老人には今も「高妙見たかみようけんさん」と称し崇めている者もあるという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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